福岡市内散策(16)
- 香椎宮、古宮跡、不老水 -
 

Walking in Fukuoka City No.15  -2018.10.15-

- Kashii Shrine, Ruin of Old Kashii Shrine and Furosui (Waters of Perennial Youth) -

所用で福岡の実家に戻った時、東京に戻る飛行機の便まで時間があったので、福岡市内を散策してみることにした。

どこに行こうかと、ネットで市内の名所や見所を検索した結果、今回は香椎宮に行ってみることにした(ただ、今回は一眼レフカメラは持ってきていなかったので、写真はスマホのカメラで撮ることになったが)。これまで香椎にはほとんど行ったことがなく、記憶にあるのは、子供の頃、親に香椎花園に連れて行ってもらったことくらいだ。もちろん香椎宮には行ったことはない。

JR博多駅から小倉方面行きの電車に乗って4つ目の駅が香椎なので、10分位で香椎に着いた。そこからは香椎線の宇美行きに乗り換えて香椎から一駅の香椎神宮まで行くのだが、宇美行きの列車が来るまではまだ時間がある。
ホームのベンチで待つこと20分。やっと列車がやってきた。やってきたのはいかにもローカル線という感じの2両編成の国鉄時代の懐かしいディーゼルカーだ(車体は塗り直されているが)。ディーゼルカーに乗るのは本当に久しぶりだ(たぶん何十年ぶりだと思う)。


香椎駅のホーム

香椎線を走るディーゼルカー

香椎から香椎神宮までの1駅の短い移動だったが、懐かしいディーゼル車に乗れたのはよかった。小さな香椎神宮駅を出て、スマホで香椎宮の場所を確認して、香椎宮に向かう。歩いて5分程で香椎宮についた。


JR香椎神宮駅

と、ここで香椎宮について少しお勉強を。香椎宮のHPによると、
「香椎宮の主祭神は仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)、神功皇后(じんぐうこうごう)で、その起源は今から1800年前の西暦200年まで遡る。仲哀天皇は熊襲(くまそ)の反乱を鎮めるため、神功皇后とともにこの香椎の地に赴いた(199年)。しかし、志半ばにして仲哀天皇はこの地で崩御した(200年)。その後、神功皇后は神のお告げを受けて、海を渡って新羅を平定し、凱旋後、仲哀天皇の霊を鎮めるため神功皇后の手によって天皇を祀った霊廟を建てたのが起源とされている。さらに元正天皇の養老7年(723)に、皇后自身の宣託により神亀元年(724)に社殿が建てられ、これら二廟を併せて「香椎廟」と称された。その後、明治以降は官幣大社香椎宮、戦後は香椎宮と称している。」
のだそうだ。

道路沿いの鳥居をくぐって中に入る。神苑の中の通路の両側に池のある橋を渡ってさらに進むと、また鳥居がある。その鳥居をくぐってその先の階段を上って楼門へ。楼門をくぐって境内に入り、手水舎で手を洗って身を浄める。


道路沿いにある石造りの鳥居

御祭神 仲哀天皇、神功皇后


菖蒲池と弁財天社

二つ目の鳥居


楼門

さらに本殿前の中門の方へ歩いていくと、中門の前の広場には朱色の玉垣で囲まれた御神木の綾杉がある。説明板によると、この杉の木は「神功皇后が『とこしへに本朝を鎮め護るべし』と祈りをこめて植えた杉」だそうで、新古今和歌集には「ちはやふる香椎の宮のあや杉は 神のみそきにたてる成りけり」(読み人知らず)というこの杉を読んだ歌が収められている(注)。また、もう一つ「秋立つや千早ぶる世の杉ありて」という句も書かれており、これは夏目漱石が明治29年に松山から熊本五高に赴任する途中、香椎宮に寄った時に読んだものだそうだ。


綾杉

綾杉の由来と
新古今和歌集に収められている歌と漱石の句


中門

本殿 [Wikipediaより]
※本殿の写真が上手く撮れていませんでした
ので、Wikipediaの写真を参照させていただきました。


奏楽殿

中門をくぐって本殿でお参りする。本殿の隣には奏楽殿があり、中央に太鼓が置いてある。本殿の周りをぐるっと回っていったら、近くにある古宮跡と不老水の看板があったので行ってみることにした。入り口の鳥居をくぐって丘を登っていくと古宮跡がある。「古宮」とは香椎宮創建の地で、六角形の朱色の玉垣の中に香椎の地名の由来となったという神木「香椎」が祀られている。さらに登っていくと「仲哀天皇大本営御旧蹟」と書かれた石碑が建てられている。


古宮跡

神木「香椎」


「仲哀天皇大本営御旧蹟」の石碑


仲哀天皇訶志比宮趾(かしひのみやあと)
の説明板

その後は一旦入り口まで丘を下って、そこから歩いて数分のところにある霊泉「不老水」へ。不老水の由来は、仲哀天皇と神功皇后に仕えた武内宿禰(たけのうちすくね)がこの泉の水を汲んで食事と酒を調えて300歳まで生きたと伝えられたことによるそうだ。この水は日本名水百選にも選ばれているそうだ。


不老水の入り口

説明板


不老水
この先祠の中で不老水が湧き出ています

香椎宮とその周辺を散策した後は博多駅まで戻るためJR香椎神宮駅へ。しかし、香椎方面行きの列車が出た後で、次の列車まで20分以上ある。このまま駅で待ってもいいんだが、天気もいいし、どうせ一駅分の距離なので、参道を歩いて香椎駅まで戻ることにした。JR香椎線の線路沿いの道路が参道で、楠の並木になっていて歩いていて気持ちがいい。参道を歩いて20分程で香椎駅までたどり着いた。


参道と鳥居

この後は博多駅まで戻って地下鉄で福岡空港へ。

おわり。


(注)「ちはやふる」で始まっていますが、広瀬すず主演の映画『ちはやふる』のタイトルの元になっている歌とは別の歌です。映画の方の「ちはやふる」は平安時代の歌人・在原業平が読んだ「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くゝるとは」という歌で、古今和歌集・小倉百人一首の撰歌です。