東京都心散策(43)
 ― 安藤忠雄展「挑戦」 at 国立新美術館 ― 

Walking in Tokyo No.43  -2017.11.03-

- The Exhibition of "Tadao Ando : Endeavors" at the National Art Center, Tokyo -

2週連続で週末に台風がやってきて、せっかくの土日が雨でどこにも出かける気にはならなかった。でも、この3連休は天気も良く、久しぶりに都心の美術館に行くことにした。
今回はどの美術館に行こうかと、ネットの展覧会スケジュールで検索して見たところ、国立新美術館で開催されている「安藤忠雄展 挑戦」というのが目に止まった。スケジュールサイトでも「オススメ」となっていたので、この展覧会を観ることにした。


国立新美術館の建物の外観

僕自身は安藤忠雄の名前はもちろん知っているが、独学で建築を学んで東大教授も務めた世界的な建築家ということ以外はほとんど知らないし(元プロボクサーだったというのは初めて知った)、どれが彼の作品なのかもほとんど知らない。知っているとしたら、同じ六本木にある東京ミッドタウン・ガーデンにある「21_21 DESIGN SIGHT」という美術館くらいだ(ここには一度行ったことがあり、その時知ったのだ)。なので、今回の展覧会は、彼の作品の全貌を知る絶好の機会だ。


安藤忠雄展のリーフレット

3連休で天気もいいし、有名建築家の展覧会なので、人多いかなと思っていたが、展示室の中に入ってみると、やっぱり多くの人でごった返していた。こりゃ、人ごみをかき分けてみて行くしかない。

展示されているのは、まずは安藤忠雄が建築家になる前に世界放浪をした場所に地図とスケッチ、彼のアトリエの変遷を紹介したもの、現在のアトリエの一部を原寸大で再現したものだ。

そのあとは、個人宅から美術館などの公共施設にいたるまでの彼の作品の写真(さすがに”ホンモノ”は展示できない)や設計図、イラストなどが展示されていた。その中で一番目を惹かれたのは建物の模型だ。内部まで忠実に作られていて、中には建物だけでなく周りの地形もあわせた模型(薄い板やボール紙を1枚1枚貼り合わせて起伏を表現している)もあり、思わず見入ってしまった。

特に圧巻だったのは、屋外に設けられた「光の教会」の実寸大に再現したものと、「直島プロジェクト」のインスタレーション(*)、ベネチアの現代美術館「プンタ・デラ・ドガーナ」の模型だ。これを作るのにどの位時間がかかったんだろう、でも作っているときは楽しかったんだろうなと考えてしまった。
僕も子どもの頃、模型を作るのが大好きだったが、中でも内部まで忠実に再現したものが好きだった。このような模型は作るのは大変だけど、作っているときは楽しかったという思い出がある。

「光の教会」と「直島プロジェクト」のインスタレーションは写真撮影が許可されていた。
「光の教会」の内部は壁面に細長い十字の隙間があって、そのに差し込んだ光が十字架を形作っている。


光の教会の内部

光の教会の外側

次は「直島プロジェクト」のインスタレーション。
島を丸ごと作って、そこに彼が設計した建物の模型が配置されている。
島や建物の模型の素材が茶色なので、まるでNASAの火星探査車「キュリオシティ」が撮影した火星の風景の写真のようだ。






多くの作品の写真や模型の他に、「建築づくり=環境づくり」と考える彼の社会活動への取り組みを紹介したドキュメンタリー映像も上映されていた。

ひと通り観終わって外へ。
僕は建築の専門家ではないが、今回の展覧会で素人なりに「安藤忠雄の世界」を垣間見ることができてとってもよかった。そんな気分にさせられた。

おわり。


* インスタレーションとは、1970年代以降一般化した、絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化・異化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術。[Wikipediaより抜粋]