東京都心散策(7)
-「レンブラント展」at 国立西洋美術館 / 国立科学博物館 -

Walking in Tokyo No.7  -2011.04.30-

- The Exhibition of "Rembrandt" at the Natioal Museum of Western Art / National Museum of Nature and Science -

Part 1:「レンブラント展」at 国立西洋美術館

GWが始まったのだが、後半は実家に戻るのだけれど前半は特に予定を立てていなかったので、上野の国立西洋美術館に「レンブラント展」を見に行くことにした。ちょっと前まで通勤途中の駅のホームの壁に大きなポスターが貼ってあって、見に行こうと思っていたのだ。

午前中に家を出て、駅ビルのパン屋さんで朝食をとってから、電車で上野へ。午前中に家を出たにもかかわらず、結局上野に着いたのはお昼過ぎだった。上野駅の公園口を出て上野公園内に入ってすぐのところに西洋美術館はあるが、GWということもあって公園内は人でいっぱいだ。美術館の門を入って、まずは前庭にある彫刻の写真を撮った。前庭には彫刻が何体かおいてあるが、僕が知っているのはロダンの「考える人」くらいだ。


「レンブラント展」の看板

国立西洋美術館の門


前庭から見た西洋美術館の建物

後で調べたら、前庭にあるのはロダンの彫刻だそうで、「考える人」のほかに、前庭の真ん中にあるのが「カレーの市民」、前庭の端に壁のようになっているのが「地獄の門」だそうだ。他には建物の側にあるのがブールデル (ロダンの助手を務めていた人だそうです) の「弓をひくヘラクレス」だそうだ。


「考える人」

「地獄の門」

「弓をひくヘラクレス」


「カレーの市民」

前庭で写真を撮った後は、チケットを買って中へ。チケット売り場もけっこう列ができていたが、中も人でいっぱいだ。とりあえず列に並んで順番に見て回ることに。僕はレンブラントについては17世紀のオランダを代表する画家というくらいしか知識がないが、調べてみると「光と影の魔術師」とか「明暗の巨匠」とか言われていて、光の探究や陰影表現を追求した画家だそうだ。そういう知識を事前に仕入れて絵を鑑賞してみると、たしかにどの作品も明るい所と影の部分が巧みに表現されている。彼の作品は油絵だけでなく、版画も多数残していて、展示されている作品の多くが版画によるものだった。


リーフレット (表)

リーフレット (裏)

ところで、版画の作品にはその技法も記されていたが、「エッチング」はともかく (半導体の製造工程などでも使用するので) 、「エングレービング」や「ドライポイント」って何だろうと思っていたら、途中で版画の技法についての説明板も展示してあった。どちらも版画の原板となる銅板に線を彫る技法なのだが、線を彫るときに使う道具が違うようだ。簡単に言えば、先端に固い刃がついたノミのようなもので彫るのがエングレービングで、鉄製の針のような尖った先端をもつ道具で彫るのがドライポイントだそうだ。

Part 2:国立科学博物館

レンブラント展を一通り見た後は外へ出て、次はどこへ行こうかと考えたが、国立西洋美術館の隣には国立科学博物館があるので行ってみることにした。

入口前に行ってみると、傍らにデゴイチ (D51型蒸気機関車) が展示していあるではないか。蒸気機関車を間近で見たのは子供の時以来で、しかもデゴイチの実物は見たことがなかったので、思わず写真を撮ってしまった。その後、本館の建物の写真も撮ることにした。この本館は歴史を感じさせるレンガ造りの重厚な建物だ。


デゴイチ (その1)

デゴイチ (その2)


デゴイチ (その3)

デゴイチの説明板


本館

入口

中に入って、さて、どこから見ようかと思ったが、隣の西洋美術館に行ってきた後で今日はあまり時間がなく、全部は見られそうにないので、ひとまず地球館の地下3Fから順番に見ていくことにした。

地下3Fは「宇宙・物質・法則 ― 自然 “しくみ” を探る ―」ということで、物理法則とその測定方法や物質構造などがテーマで、僕自身にとってはよく知っている領域なのだが、あらためて見てみると、今ではもう使われていないような古い装置なども展示してあって、なかなか興味深いものがあった。

まず目についたのはメートル原器とキログラム原器のレプリカだ。どちらもプラチナ (白金) 90%、イリジウム 10% の組成比の同じ合金でできている。メートル原器は長さの基準としてはすでに用いられなくなっているが、キログラム原器は現在も質量の基準として使われているのだ。長さの基準としては、何十年も前にクリプトン86 ( 86Kr 、ヘリウムやネオンと同じく不活性ガスの一種) の出す光の波長をもとに決められていたが、その後、光の速度をもとに決められている (光が真空中を約3億分の1秒の間にすすむ距離) 。質量の基準もそのうちキログラム原器から普遍的な物理量から決められるようになるのかな?

つぎに、加速器関係の展示物だ。古いサイクロトロン (初期の加速器) や1980年代中頃まで実際に使われていた泡箱などは初めて見たので、これは収穫だった。泡箱というのは加速器に設置された粒子の飛跡を検出する装置で、泡箱で撮った素粒子の飛跡の写真は昔は教科書や雑誌でよく目にしていた (飛跡が現れるのは荷電粒子のみで、中性粒子の飛跡は写りませんが) 。他には霧箱 (これも飛跡検出器の一種) が置いてあって、実際に粒子が霧箱に入射してつくる飛跡が見られるようになっている (これは自然界で発生する放射線が霧箱に入射しているのだ) 。

僕は大学時代に研究室で似たようなことをやっていたので、こういうのを見ていたら、その当時のことを思い出してしまった。その当時僕は、原子核乾板 (これも飛跡検出器の一種で、まぁ、高感度の写真乾板のようなものだ) などの飛跡検出器に写った高エネルギー宇宙線一次粒子の飛跡を解析していたんだが、飛跡の解析は結構難しく、こういうのを展示しても一般の人には何が何だかよく分からないと思うので、博物館向きの検出器ではないかなぁ?

それから、岐阜県神岡鉱山跡につくられた東大宇宙線研のニュートリノ検出装置「カミオカンデ」(現在は後継機の「スーパーカミオカンデ」が稼働している) で使われている巨大な光電子増倍管。口径20インチ (約50cm) もある。こんなにデカイんだ。一般によく使われるのはこの 1/10 位の大きさだと思う。

その他には、キャベンディッシュの実験装置を再現したデモ (簡単に言えば、装置からつりさげた重りの間に働く万有引力を測っている) や帯電した球体の間に働くクーロン力のデモなどもあり、なかなかおもしろかった。これを見ていて、以前書いたブログの続きで、キャベンディッシュの実験について書いている途中だったのを思い出した。早く書いてしまわないと・・・ (汗) 。

地下3Fの展示物を一通り見た後は地下2Fへ。ここのテーマは「地球環境の変動と生物の進化 ― 誕生と絶滅の不思議 ―」だ。ここには、アンモナイトや三葉虫、古代の魚類や古代植物の化石や古代の爬虫類や哺乳類の骨格標本などが展示してあり、門外漢の僕には結構興味深いものがあった。なかでも古代の海に住んでいた巨大な爬虫類 (かな?) の骨格標本やマンモスなどのゾウの祖先の骨格標本は圧巻だ。本当にデカイ!
あとは猿人や原人、旧人のような人類の祖先の化石と現代人 (ホモ・サピエンス) との比較なども面白かった。

ここまで見たところで、閉館の時間になってしまった。やっぱり全部見て回ろうとすると朝から気合を入れていかないとダメかな (一日では足りないかも) 。

ところで、化石標本を見ているとき、恐竜の標本がないなぁと思っていたら、恐竜はもう1階上の階に展示してあった。でもこの日は時間切れで見ることができなかった。残念。恐竜は次回だな。

(う~ん。写真館のページなのに、館内では写真撮影はできなかったので、文章ばかりになってしまった・・・。)

外に出て一服した後、出口に向かっている途中で、ロケットランチャー (ロケットの発射装置) が展示してある案内板に気がついた。行ってみると、建物の裏の方にひっそりと展示してあった。展示してあるのは、日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げたラムダロケットとランチャーだ。でも、こんな裏の方に展示されていたら、気がつかない人も多いんじゃないかなぁ。表の方に堂々と展示すればいいのにと思ってしまった。


ロケットランチャー

ラムダロケット

ロケットランチャーの説明板

それにしてもこの日は美術館と博物館をハシゴして、館内を歩き回ったので疲れてしまったし、喉も渇いた。ということで、どこかで一杯飲んで帰ることにした。

おわり。