最近買った音楽CDやDVDについてのページです。ブログやPCに保存してある日記に書いていたもを集めて、一部加筆・修正して一覧にしてあります。このページで紹介しているCDは2014年に買ったCDです。
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アルトサックス奏者、纐纈歩美の新作アルバム。新作が出たという情報を入手していたので、新宿のタワレコに行ったとき、早速買ってきたのだ。
通算5作目となる今回のアルバムは前作同様にニューヨークで録音されたもので、David Hazeltine (piano) 、David Williams (bass) 、Lewis Nash (drums) といった現地のミュージシャンと共演している。アルバムタイトルにもあるように (“Balladist”は「バラードを作曲したり、演奏する人」という意味だ) 、前作とはうって変わって、今回の作品はバラード中心の構成になっている。彼ら3人のサポートを受けて、彼女のしっかりとした、それでいてまろやかなサックスサウンドで、心に残るバラードをしっとりと滑らかに “歌い上げて” いる。まさに珠玉のバラード集に仕上がっていると思う。
彼女はまだ20代の半ば位だと思うけど、それでいてこのようなバラードをしっかりと演奏するだけの表現力を身に付けているとは、凄いことだと思うし、それは彼女の日頃の努力と研究の賜なのだろうと想像する。彼女は僕の中では、この先益々成長していくことが期待される若手ミュージシャンの一人だけど、それを見届けていくのも楽しみの一つだ。
ジャズ / フュージョン界をリードする4人の超一流ミュージシャンによるユニット、フォープレイのデビューアルバム。今回も昔のアルバムを買おうと思ってこの作品を選んだのだ。
メンバーはボブ・ジェームス (Bob James; keyboards) 、リー・リトナー (Lee Ritenour; guitars) 、ネイザン・イースト (Nathan East; bass) 、ハーヴィー・メイソン (Harvey Mason; drums) 。フォープレイのギタリストは初代のリー・リトナーから、2代目のラリー・カールトン (Larry Carlton) 、3代目のチャック・ローブ (Chuck Loeb) へと交代しているが、僕はラリー・カールトンとチャック・ローブがギタリストを務めているアルバムはいくつか持っているのだが、リー・リトナーの時代のアルバムはなぜか持っていなかったので、今回はこのスーパーユニットの原点である彼らのデビューアルバムを買うことにしたのだ。
彼ら4人の磨き抜かれたテクニックによって紡ぎだされる、洗練された都会的なセンスに溢れた音楽は、各メンバーのソロプレイを前面に出すことより、メロディアスでアンサンブルを重視したものだ。まさにスムースジャズの原点がここにあるような気がする。この作品は1991年に発表されたものだが、23年経った今聴いても少しも色褪せていない。スムースジャズファン必聴のアルバムのひとつだと思う (今更言うようなことではないかもしれないけど・・・) 。
ママール・ハンズというジャズ・トリオのアルバム。新宿のタワレコでたまたま見つけ、試聴してみたら結構よかったので買うことにしたのだ。
ママール・ハンズ (Mammal Hands) というバンドについて全然知らないので、調べてみたら、どうやらUKのジャズ・トリオのようで、メンバーはジョーダン・スマート (Jordan Smart; sax) とニック・ジョーダン (Nick Smart; piano) の兄弟、ジェシー・バレット (Jesse Barrett; drums & Tabla) で、この作品は彼らのデビューアルバムのようだ。
このバンドはサックスとピアノとドラムという変則的な編成で、ベース奏者がいないのだ。メンバー以外の誰かがベースを弾いているというようなものではなく、(ウッドにしろエレキにしろ) ベースの音そのものがないのだ。それでも物足りなさを感じることはないのは、それだけ音づくりに関して完成度が高いということなのかな?
収録されている曲はすべてが彼らによるオリジナルで、それぞれの楽器のインタープレイによって音を展開しているが
(大抵のジャズはそうだが) 、ソロに重点を置いているというよりは、全体としての調和を重視しているような感じがする。それによって彼ら独自の音楽性を追求しているのだと思う。
謎のキーボード奏者、ピーター・フェルナンデスのアルバム。新宿のタワレコでたまたま見つけ、試聴してみたら結構よかったので買うことにしたのだ。
僕は彼のことを全然知らなかったので、彼がどんな人物なのかはまったく分からないのだが、解説を読むと、どうやら米国マサチューセッツ出身の若手作曲家、トランペット奏者、キーボード奏者で、プロデューサーでもあるそうだ。このアルバムは彼の通算4作目、本人的には2作目 (?) にあたる作品だそうで、多くの (20名位) のミュージシャンを迎えて制作したものらしい (ほとんどは知らない人ばかりだが、日本のインストゥルメンタル・バンド、DIMENSION の増崎孝司 [guitar] 、勝田一樹 [sax] も参加している) 。
内容的には、フュージョン/コンテンポラリージャズあるいはインストゥルメンタル・ロック (プログレみたいな雰囲気もする) という感じだが、アンサンブルを重視して全体的に聴きやすい内容になっていて、なかなかいい作品だと思う。収録されている全曲が彼の作曲、アレンジによるもので、作曲家・アレンジャーとしての才能もなかなかのものだろ思う。
ところで、アルバムタイトルの『Q.E.D.』は、ラテン語の " Quod Erat Demonstrandum (かく示された) " が略されたもので、数学の証明問題で証明し終わったときに、「証明終わり」という意味で最後に付けたりするのだけど、その昔予備校に通っていたとき、数学の先生 (当時、某国立大学助手) が " Q.E.D. " を「コレデ、エエ、ダロウ」と言って (もちろん冗談で) 笑いをとっていたのを思い出した。
1970年代に活躍した伝説のフュージョンバンド (最近再結成されている) 、リターン・トゥ・フォーエバー (RTF) のアルバム。今回も昔のアルバムを買ってみようと思い、この作品にしたのだ (RTF の昔のアルバムはほとんど持っていないのだ) 。
このアルバムは、RTF の第2期の時代 (1974 ~ 1977年) の1976年に発表された作品で、バンドとして最高の売り上げを記録したものだ。この時期は当初メンバーの入れ替わりはあったものの、バンドの中心メンバーのチック・コリア (Chick Corea; piano/keyboards) 、スタンリー・クラーク (Stanley Clarke; bass) の他に、レニー・ホワイト (Lenny White; drums) 、さらにはギタリストとしてアル・ディメオラ (Al Di Meola) が加入し、ロック色の強まったエレクトリック・カルテット編成の黄金期を迎えていた。
内容的にはジャズ・ロックだが、曲の構成はその頃全盛期を迎えていたイエスや EL&P 、キング・クリムゾンなどのプログレッシヴ・ロックに触発されて作られたようなもので、プログレッシヴ・ロックレそのものと言っていいような作品だ。それは曲の構成のみならず、中世の騎士が描かれているアルバムジャケットや、中世の世界のようなアルバムタイトル
(Romantic Warrior ― 浪漫の騎士) や収録されている曲名にも表れている。
収録されている曲は以下のとおりだ (原題と日本語タイトル) 。
(1) Medieval Overture ― 中世序曲
(2) Sorceress ― 女魔術師
(3) The Romantic Warrior ― 浪漫の騎士
(4) Majestic Dance ― 荘厳な舞踏
(5) The Magician ― 手品師
(6) Duel of the Jester and the Tyrant (Part I & Part II) ― 道化と暴君の決闘 (パートI, II)
まさに、中世をテーマにした壮大なロック・シンフォニーといえる作品で、ある意味プログレ好きな人に向けた作品のような気もするけど、個人的にはプログレは好きなので、これはいいアルバムだと思う。
スムースジャズ・ギタリスト、ポール・ブラウンの新作アルバム。僕は彼のアルバムは10前位に買った『 Up Front 』を1枚だけ持っているのだが、新宿のタワレコで新作をたまたま見つけ、試聴してみたら結構よかったので久しぶりに買ってみることにしたのだ。
僕は彼のことをギタリストということ以外ほとんど知らないので、調べてみたら、元々はレコーディング・エンジニアとして活動していて、その後プロデューサーとして、ジョージ・ベンソン、アル・ジャロウ、パティ・オースティン、ラリー・カールトンなどの数々の実力派ミュージシャンの名盤を生み出し、スムースジャズ界の重鎮として君臨してきたそうだ。その後2004年にアルバム『 Up Front 』でギタリストとしてデビューを果たし、今回のアルバムは自身7枚目のアルバムのようだ。
そうかぁ~、10年位に買ったアルバムは彼のデビュー・アルバムだったんだ (今頃気がついたけど・・・) 。
ジョージ・ベンソンの " Breezin' " を彷彿させるオクターブ奏法のギターが耳に心地よい " Sunrise On Sunset " で始まる今回のアルバムは、ラリー・カールトン、デイブ・コーズ、ナジーなど多くのミュージシャンをゲストに招き、最初から最後までグル―ヴ感にあふれていて、しかも爽やかで何とも心地いいギター・サウンドを聴かせてくれている。これは街中を散歩したりドライブしているときに聞きたくなる、なかなかいいアルバムだと思う。
Libstems (リブステムズ) というジャズ・バンドの1stアルバム。新宿のタワレコでたまたま見つけ、試聴してみたら結構よかったので買うことにしたのだ。
僕はこのバンドのことを全然知らなかったのだが、彼らのHPを見ると、2008年にギタリストの和田陽介を中心に結成されたバンドのようで、メンバーは和田 (guitars/effects) の他に、沢田俊祐 (piano/keyboards) 、古木佳祐 (bass) 、永山洋輔 (drums) の (メンバー全員の名前が “○○すけ” になっているのも珍しい) で、2014年5月に待望の1stアルバムであるこの作品をリリースしたようだ。バンド名の語の意味もよく分からないと思ったら、" Libstem " というのは、" Lib " = adlib (即興) 、liberty (開放、自由) と " stem " = (茎、軸) をくっつけた造語で、自己の内面を即興によって開放する集団を表わしているそうだ。
内容的には、即興的なジャズをベースに、エフェクターを効かせたプログレ的な (キング・クリムゾンみたいな) ギターサウンドであったり、またあるときにはナチュラルなギターサウンドを組み合わせた構成になっていて、先進的でクリエイティブな雰囲気を感じさせる作品だと思う。こう書くと何だか前衛的な音楽のように思われるかもしれないが、全然そんなことはなく、全体的にメロディアスで聴きやすい音楽に仕上げられている。これはなかなかいいアルバムだと思う。
ジャズ/フュージョン系屈指の名ギタリスト、アル・ディメオラのアルバム。新宿のタワレコで新作アルバム (他のミュージシャンの) を選んだあと、ついでに昔のアルバムを買おうと思っていろいろ手にとって見ているとき、アル・ディメオラにするか、ジョン・スコフィールドにするか、はたまたウェス・モンゴメリーかジョン・コルトレーンにするかかなり迷ったが、結局アル・ディメオラのアルバムにすることにした (これって結構有名なアルバムだけど持っていなかったのだ)。
1977年に発表されたこのアルバムは、彼がリターン・トゥ・フォーエバーを離れてソロとしての2ndアルバムとなる作品だ。しかも、レコーディングに参加しているミュージシャンは、ヤン・ハマー (Jan Hammer; keyboards) 、スティーブ・ガッド (Steve Gadd; drums) 、アンソニー・ジャクソン (Anthony Jackson; bass、最近は上原ひろみのトリオでも活動している) 、レニー・ホワイト (Lenny White; drums) など豪華メンバーだ。
作品全体を通して、ロックにスペイン音楽的な要素を加えたサウンドになっていて (アルバムジャケットもギターを持った彼とフラメンコダンサーという、スペインを意識した構図になっている) 、彼のスーパーテクニックのギターを堪能できる作品だ。この作品をギターでコピーしようと思うと相当難易度が高いと思う。また、3曲目の " Mediterranean Sundance " では、フラメンコギタリストのパコ・デ・ルシア (Paco De Lucia) と初共演を果たしていて、2本のアコースティックギターの絡みで彼は大いに刺激され、後に彼とパコ・デ・ルシア、ジョン・マクラフリンによる、「スーパー・ギター・トリオ」 誕生の布石となったといわれている。
このアルバムは、サウンド的には70年代後半のフュージョン/インストゥルメンタル・ロックそのものだが、ロック/フュージョン・ギター好きには必聴のアルバムの1枚だと思う。
ジャズピアニスト・山中千尋の新作アルバム。新作が出たという情報を入手していたので、買おうと思っていたのだ (もちろん、初回限定盤DVD付きを買った) 。
今回の作品は、ジャズの最強のレーベル《ブルーノート (Blue Note) 》の75周年を祝って作られたものだそうだ。バンド編成はセクステット編成 (6人編成) で、トランペットとサックス (1曲だけフルートも) といった管楽器も用いられているという、彼女としては初の試みだ。メンバーは彼女の他に、ベニー・べナック三世 (Benny Benack III; tp) 、ジェリール・ショウ (Jaleel Shaw; sax) 、ラゲ・ルンド (Lage Lund; g) 、中村恭士 (Yasushi Nakamura; b) 、ケンドリック・スコット (Kendrick Scott; ds) [11曲目のみドラムスはマーク・ホイットフィールドJr (Mark Whitfield, Jr.) が担当]という、ニューヨークの気鋭のミュージシャン達だそうだ (う~ん、知らない人たちばかりだ・・・) 。
収録されている楽曲も、11曲中8曲が彼女のオリジナル曲という力の入れようで、最初から最後までスイングしまくっている、という感じだ。これまでのピアノトリオとは一味違い、曲だけ聴いたら彼女のアルバムだとは気がつかないほどだ。彼女のピアノも、随所に彼女らしいダイナミックなピアノソロはあるものの、いつもよりは少し控えめな感じがする
(これはトランペットやサックス、ギターソロなどもあるので、その分曲に占める彼女のピアノソロの比率が下がっているからそう感じるのかもしれないけど) 。しかし、全体的に、これぞジャズという感じに、うまくまとめられた作品に仕上がっていると思う。
なお、特典DVDの方は、アルバム8曲目の " For Real " 、9曲目の " On The Shore " 、1曲目の " Somethin' Blue " の、ニューヨークのスタジオでのレコーディング映像が収録されている。
ジャズ/フュージョン界で活躍しているアメリカのピアニスト、ジョー・サンプルの1990年発表の作品。たまには昔の作品を聴いてみようと思い、今回はこのアルバムを買うことにしたのだ。
ジョー・サンプルは僕の好きなピアニストの一人なんだが、彼といえば、かつて (1970年代から80年代にかけて) 活躍したフュージョン・バンド、クルセイダーズ (The Crusaders) の中心メンバーで、その後はソロとして活動しているピアニストだが、このアルバムは1989年にワーナー・ブラザーズに移籍後、1990年に発表した2作目の作品だ。
内容的には、彼とマーカス・ミラー (Marcus Miller;bass) 、オマー・ハキム (Omar Hakim;drums) によるピアノトリオを基本に、必要に応じて他の楽器 (ギター、サックス、トランペットなど) を加えた編成で、収録されている楽曲も彼のピアノを存分に引き出すような曲になっていて (マーカス・ミラー作曲の2曲を除いたすべてが彼の作によるもの) 、彼の躍動感あふれるピアノを存分に堪能できる作品だ。聴いていて、とにかく素晴らしい内容で、彼の作品の中でもベストに部類する作品だと思う。
ところで、アルバムタイトル " Ashes To Ashes " (灰は灰に) という言葉は、キリスト教で埋葬のときに使われる祈りの言葉 " earth to earth, ashes to ashes, dust to dust " (土は土に、灰は灰に、塵は塵に) の一節だそうだ。どのような意味を込めてこのタイトルがつけられたのかは僕には知る由もないが、土にかえるような意味合いから「本来の自分に戻る」といような意味合いかな? (って、勝手に解釈しているけど・・・)
英国のフュージョンバンド、シャカタクの新作アルバム。新作が出ていたとは知らず、新宿のタワレコでたまたま見つけ、思わず買ってしまった。去年発売された『 Once Upon A Time – The Acoustic Sessions – 』以来のアルバムだが、新曲で構成されたアルバムとしては3年振りの作品で、日本で先行発売されたものだ。
オープニングのアルバムタイトル曲 " On The Corner " からいきなりシャカタク・サウンド全開という感じで、全体的に、都会的な洗練された雰囲気の、いかにも彼ららしい雰囲気の作品に仕上がっていると思う。彼らはデビュー以来30年以上にもわたって、ブレずに自分たちのスタイルの音楽を追求し続けていて、まさに 「シャカタク・ミュージック」 ともいうべき自分たちのスタイルを確立してきたのだ。
同じ雰囲気の作品ばかりが続くと、そのうち飽きてしまいかねないのだが、彼らの音楽には ”飽きた” という感情を抱くことがない。聴く人を飽きさせない何か秘密があるのかもしれない。それが何なのかは僕にはよく分からないのだが、変に力まずに、リラックスして聴ける。それが 「シャカタク・ミュージック」 なのかもしれない (って、勝手に解釈しているけど・・・) 。
去年、鮮烈なデビューを果たしたスーパー女子高生ドラマー、川口千里ちゃんの2ndアルバム。新作が出たという情報を入手していたので、買おうと思っていたのだ (もちろん初回限定盤DVD付きを買った) 。アルバムジャケットのデザインがなんだかアイドルのアルバムみたいな感じなので、僕のようなオジサンがタワレコの支払いカウンターに持っていったとき、ちょっとこっぱずかしかったけど・・・。
今回のアルバムは L.A. でレコーディングしたものだそうで、多くの実力派のミュージシャンとともに制作されたもののようだ。内容的には前作同様フュージョン/インストゥルメンタル・ロックという感じだが、激しいドラミングから、グルーブ感あふれるドラミング、しっとりと聴かせる曲まで、彼女の渾身のドラミングを聴かせてくれている。知らない人が聴いたら、とても女子高生がドラムを叩いているとは思わないのではないか、というような内容だ。それくらい彼女のドラミングはハイレベルな域に達している。今後、彼女のドラミングはどこまで進化していくのだろうか。それを見届けていくのもまた楽しみのひとつになった。
なお、6曲目の " All This Love " では、ヴォーカルもフィーチャーされて入れいて、歌っているのはなんと、デンマーク出身のシンガー・アンナケイ (Annekei) だ。
特典DVDの方は、アルバム1曲目の " See You Much Later " のレコーディング風景を収録したPV、インタビューを交えた彼女の L.A. での様子が収録されている。
待ちに待った上原ひろみの新作アルバム。2012年の『 Move 』以来、約1年半ぶりの作品だ。発売されるのを心待ちにしていたので、新宿のタワレコで早速買ってきた。もちろん初回限定盤 (SHM-CD+DVD) を買った。
アルバムタイトル『 Alive 』にあるように、今回のアルバムは 「生きること」 をテーマに、生まれて、生き続けて、前に進んでいくことをイメージして、ピアノトリオというスタイルで表現したものだ。前々作『 Voice 』からトリオを組んでいるアンソニー・ジャクソン (Anthony Jackson; contrabass guitar) とサイモン・フィリップス (Simon Phillips; drums) とは、まるでお互いに楽器で会話をしているかのようで、完成度の高いものだったが、その間多くのツアーをこなしていくことでさらに進化していって、より高いレベルにまで達しているような感じだ。だからこそ、この作品が生まれたのだし、この3人でなければ生まれ得なかったものだと思う。
ところで、今回のアルバムに収録されている楽曲は、年末年始にかけてブルーノート東京でのライブでお披露目されていたのだが (ほとんどの曲が誰も聴いたことがない新曲という、今まで体験したことがないライブだった) 、聴いているうちにその時の興奮が脳裏によみがえってきた。
最後の曲 " Life Goes On " の解説で、彼女はこう結んでいる。
「人生は続いて行く。何があろうと。だから進むしかない」
彼女はこれからも進化し続け、世界中のファンに素晴らしい音楽を聴かせ続けてくれるだろう。これからもそれを見守っていきたいと思う。
特典DVDは、年明けのブルーノート東京のライブでの " Firefly " (ピアノソロ) と " Spirit " の映像と、メンバーのインタビューとレコーディング・メイキング映像が収録されている。(ブルーノート東京のライブは僕は年末の公演に行ったので、この映像が収録された時は残念ながら会場には居なかった。)
アルトサックス奏者・小林香織の新作アルバム。ちょっと前に彼女の新作が出たという情報を入手したので (うかつにもノーマークだった) 、新宿のタワレコで早速買ってきたのだ(もちろん初回限定版のDVD付きを)。
今回で9作目となるこのアルバムは、彼女らしいシンプルで親しみやすいメロディのナンバーが満載の何とも心地い作品に仕上がっていて、彼女の洗練された都会的センスであふれるサックスを堪能できる内容になったいると思う。収録されている曲はすべて彼女の作によるもので、サックス奏者としてだけでなく、メロディメーカーとしての実力も相当のものだ。彼女はデビュー間もない頃は、“ジャズ界のアイドル” ともてはやされていたが、もはやジャズ/フュージョンという枠を超え、ロック/ファンク/ポップという枠にもとらわれない、彼女の音楽の世界をつくりあげている。なお、5曲目の「安土桃山」と6曲目の「江戸前」では、前々作の『 SEVENth 』でも共演した津軽三味線奏者・浅野祥と再びコラボレートして、“和風” という要素を盛り込んだ新たな境地にも取り組んでいるようだ。
特典DVDの方は、インドネシアのジャカルタで開催された " Jakarta International Java Jazz Festival 2013 " でのライブの模様が収録されている。彼女はインドネシアだけでなく、韓国、台湾、香港などアジア各国・地域でのライブ活動を続けていて、タイのサックス協会からは「アジアでもっとも美しいサックス・プレイヤー」と称されているようだ。
ジャズピアニスト、桑原あいの3rdアルバム。新作が発売されたという情報を入手していたので、買おうと思っていたのだ。
「ポスト・上原ひろみ」 と騒がれてデビューして以来、早二年。前作から1年の時を経て発表された3作目にいやが上にも期待が高まる。前回同様に、今回の作品も全曲が彼女の作曲・編曲によるものだ。アルバムタイトルは『 The Window 』― 「窓」 から彼女が見た光景はどんなものだったのか。この作品は、ピアノトリオ 「トリオ・プロジェクト」 というアンサンブルを通して、彼女が見た光景を表現したもののような感じがする (って、毎回勝手に解釈しているけど) 。また一段と進化した想像力豊かな彼女の独自の世界を才能を十分堪能できる作品だと思う。
ところで、彼女のWebサイトをチェックしたら、今回のアルバム『 the Window 』リリースLIVEツアーが始まっているようで、東京公演は7/20のようだ。彼女のライブは去年のGWにお茶の水での野外ライブを見ただけなので、このアルバムを聴いていたら、彼女のライブに行きたくなってしまった。
日本のジャズシーンをリードするジャズ・バンド、Encounter の新作アルバム。新宿のタワレコで新作が出ているのを見つけ、思わず買ってしまった (一応視聴したけど) 。前作『 Traveler 』以来3年振りの新作だ。バンド名 " Encounter " のとおり ( " encounter " には 「偶然出会う」 という意味がある) 、3年前、僕はこのバンドに偶然出会い、前作を買ったのだが、今回もまた新作に偶然出会ったということになる。
浜崎航 (tenor sax, flute) 、堀秀彰 (piano) 、高瀬裕 (bass) 、広瀬潤次 (drums) という、実力派ミュージシャン4人によるバンドが織りなすこのアルバムは、全曲メンバーによるオリジナル曲で構成されていて、4人の研ぎ澄まされた感性によって紡ぎだされた音が重なり合って、スウィング感、そしてグル―ヴ感を感じるハイクオリティーな音楽をつくりあげていっている。そんな感じのする、なかなかいいアルバムだと思う。
僕は彼らの作品をCDでしか聴いたことがなく、まだ生では聴いたことがないので、この作品を聞いていて、是非とも生で聴いてみたくなってしまった。
フランス人サックス奏者で、ピアニスト、作曲家でもあるオリビエ・ボーゲ (Oliver Bogé) のアルバム。新宿のタワレコでたまたま目にとまり、試聴してみたら結構よかったので、買うことにしたのだ。
僕は彼のことを全然知らなかったので、公式サイトで調べてみた。それによると、彼はフランスの音楽院で18歳までクラシックピアノの教育を受けていて、いろいろな賞を受賞したようだ。その後、サックの勉強を始め、1st アルバム『 Imaginary Traveler 』を発表し、世界中の評論家や音楽家から絶賛されたそうだ。
このアルバムは、2013 年にニューヨークに渡って、数年来の友人であるジャズ・ミュージシャン達とのカルテット編成でレコーディングされたもので、本国フランスのみならず、日本やアメリカなどでも注目されているようだ。カルテットのメンバーは、Oliver Bogé (sax, piano, voices) 、Tigran Hamasyan (piano) 、Sam Minaie (bass) 、Jeff Ballard (drums) だ (う~ん、知らない人たちばっかりだ・・・) 。収録されている曲はすべて彼自身の作曲によるもので、一見シンプルだが、美しい旋律の、なかなかいい内容に仕上がったアルバムだと思う。
日本が世界に誇るジャズ・ヴァイオリニスト、寺井尚子の新作アルバム。新作が出たという情報を入手していたので、買おうと思っていたのだ。
今回のアルバムでは、北島直樹 (piano) 、店網邦雄 (bass) 、中沢剛 (drums) によるレギュラーのカルテットメンバーに加えて、新鋭ジャズ・ヴィブラフォン奏者の山本玲子、クオシモードのパーカッション奏者・松岡 " matzz " 高廣もゲスト参加している。
彼女のヴァイオリンといえば「情熱的」というイメージがあるが、アルバムタイトルにもあるように、今回は 「クール」 というコンセプトをもとに作品が作られているそうで、山本玲子のクールなヴィブラフォン・サウンドと松岡 " matzz " 高廣のクールなグルーブ感あるパーカッションが加わることで、サウンドにより広がりが出ていて、これまでとは少し違った 「クール」 なヴァイオリンで、「新しい寺井尚子の世界」 をつくりあげている。そんな感じのする作品だ。
ボーナストラックでは、お馴染みの " KINCHO 蚊取線香 " の今年の CM 曲が収録されている (まだ蚊が出てくる季節ではないので、夏になったら TV でオンエアされるのかな?) 。
ところで、今回のアルバム発売に伴い、" Very Cool " ツアー 2014 が始まっているが、5/24 の東京公演のチケットは既に手に入れているのだ。場所は去年のツアーと同じく日本橋の三井ホールだ。コンサートまでまだ1カ月ほどあるが、今回はどんなライブになるのか今から楽しみだな(*)。
* 5/24 のコンサートに行ってきました。彼女とバンドメンバーの素晴らしい演奏を堪能することができました。\(^o^)/
今や世界最高峰のベーシストと評されるネイザン・イーストの初リーダー・アルバム。事前にアルバムが出たという情報を入手していたので、これは買おうと思っていたのだ。
彼はフュージョン/スムースジャズ・バンド、フォープレイ (Fourplay) のベーシストとしてだけでなく、エリック・クラプトンをはじめとする数多くのミュージシャン達とも共演してきていて、「そのベースプレイを聴いたことのない人はいない」 とまで言われる。また、ベーシストとしてだけでなく、スキャットをメインにしたヴォーカリストとしても才能を発揮している。
今回のアルバムでも、エリック・クラプトン (guitar) 、スティービー・ワンダー (harmonica) 、レイ・パーカーJr. (guitar) 、マイケル・マクドナルド (vocal;元ドゥービー・ブラザーズ・バンド) 、チャック・ローブ (guitar;フォープレイ) 、ボブ・ジェームス (piano;フォープレイ) 、トム・スコット (saxophone) 、デヴィッド・ペイチ (keyboards;TOTO) など、多くの豪華メンバーがゲストミュージシャンとして迎えられていて、さながら、現在および過去に共演したミュージシャンの同窓会の様相を呈している感じだ。内容的にも、フュージョン/スムースジャズからロック、POP まで様々なミュージシャン達の要望に応えてきた彼の音楽性が表れている作品だと思う。
なお、11 曲目に収録されているビートルズの名曲 " Yesterday " では息子のノア・イースト (piano) との共演も果たしている。12 曲目には小田和正作曲 (作詞はネイザン・イースト、クリス・ジェロ) の " Finally Home " も収録されている (日本盤のみの収録のようだ) 。また、日本盤向けボーナストラックとして、ジャズギターの巨星・ウェス・モンゴメリーの " Four On Six " が収録されている。
スムースジャズ/フュージョン系ピアニスト・キーボード奏者、ブライアン・カルバートソンの新作アルバム。新宿のタワレコでたまたま見つけ、試聴してみたら結構よかったので買うことにしたのだ。
僕は彼のことはぜんぜん知らなかったので、少し調べてみたら、1994 年にアルバム『 Long Night Out 』でデビューし、リリカルで流麗なプレイスタイルで、ファンクのテイストを加えた音楽性が特徴のようで、キーボードだけでなく、ベースやトロンボーンもこなすマルチプレイヤーであり、作曲家、音楽プロデューサーでもあるそうだ。
今回のアルバムは、『 Long Night Out 』でデビューしてから 20 年目の節目を迎え、その集大成として作られたもので、アルバムタイトル『 Another Long Night Out 』も、もう一つのデビュー作という意味が込められているようだ。ゲストミュージシャンもリー・リトナー (guitar) 、チャック・ローブ (guitar) 、キャンディ・ダルファー (sax) などの豪華メンバーを迎えている他、オーケストラも起用している。全体を通して聴いてみて、都会的な雰囲気のコンテンポラリー・ジャズという感じで、リリカルで流麗なピアノを余すところなく聴かせてくれる、なかなかいい内容だと思う。
これは家の中だけでなく、車でドライブするときや、携帯音楽プレイヤーで街中で聴くのにもちょうどいいアルバムだ。
フランスの熟年ピアノトリオ、セルジュ・デラート・トリオの新作アルバム。久しぶりに澤野工房から出ているユーロジャズのアルバムを買おうと思って、今回はこの作品にしたのだ。僕は彼らのアルバムは 2, 3 枚持っているんだが、どれもなかなかいい雰囲気のアルバムで、澤野工房の中でもお気に入りのピアノトリオのひとつなのだ。
今回のアルバムは、去年の 10 月に『 D'accord (ダコー) 』と『 Bien Sûr (ビアン・シュール) 』という2作品同時に発売されたものひとつで、2作品はそれぞれ 「昼」 と 「夜」 のパリの街角をイメージして創られたものだそうだ (ジャケットのデザインもまさにそうなっている) 。
夜のパリを表わしているこの作品は、ジャズ・スタンダード・ナンバーをお馴染みのピアノトリオというスタイルで、あるときは軽やかに、またあるときはしっとりと、透明感あふれるピアノを聴かせてくれる (もちろんピアノだけでなく、ベースとドラムもいいです) 。まるで夜のビストロでワインと食事を楽しみながらジャズを聴くという光景が頭に浮かぶような、お洒落な感じのする作品だと思う。
こりゃ、もう一つの方のアルバムも、買わないわけにはいかないなぁ。
ジャズギタリスト、ジャック・ジェズロの新作アルバム。銀座の山野楽器でたまたま見つけ、試聴してみたら結構よかったので買うことにしたのだ。
僕は彼のことを全然知らなかったので、調べてみたところ、多くのグラミー賞ミュージシャンのレコーディングに参加し、またスタジオミュージシャンとして多数のアルバムにクレジットされている、実力派ジャズギタリストであり、コンポーザー、プロデューサーでもあるそうだ。音楽ジャンルもジャズのみならず、ラテン、カントリー、R&B、ポップなど多岐にわたって活躍しているようだ。
今回のアルバムは、彼のギターとピアノトリオ " The Mason Embry Trio " での編成で、メンバーは Jack Jezzro (guitar) 、Mason Embry (piano) 、Jim Ferguson (bass) 、Joshua Hunt (drums) 。内容的には、" Moon River " (オードリー・ヘップバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」の主題歌) や、" Overjoyed " (スティービー・ワンダーのヒット曲) 、" Waltz for Debby " (ビル・エバンス) 、" All My Loving " (ビートルズ) など、スタンダードナンバーをロマンティックな甘いギターサウンドで (まさしくアルバムタイトル『 Vintage Romance 』のとおり) 聴かせてくれている。
これは、自宅でお酒でも飲んでくつろいでいるときに聴きたくなる、なかなかいいアルバムだと思う。
英国のプログレッシヴロック・バンド、ピンク・フロイドの1979年の作品。久しぶりに昔のロックのアルバムを買いたくなって、なぜか持っていなかったこのアルバムを買うことにしたのだ。
前作『 Animals 』(1977年) 以来2年振りに発表されたこの作品『 The Wall 』は、彼らの11作目 (かな?) で2枚組のアルバムとして発売されたものだ。評価の高かった『 The Dark Side Of The Moon (邦題:狂気、1973年作品) 』、『 Wish You Were Here (邦題:炎/あなたがここにいてほしい、1975年作品) 』を上回る2300万枚ものセールスを記録した、ピンク・フロイドの作品群の中で最も売れた作品だ (でも、何で今まで買わなかったんだろう・・・) 。
ピンク・フロイドの作品といえば、あるコンセプトに基づいて作られていて、この作品もタイトルにもあるように、人間の前に立ちはだかる「壁」をコンセプトに、社会を風刺したような内容の歌詞で具現化したものだ。サウンド的には、前作『 Animals 』のストレートなロックという感じから一転して、『 The Dark Side Of The Moon 』の頃の雰囲気に近く、内容的にもロック・オペラのような構成になっている。
ところで、ピンク・フロイドは前作『 Animals 』の頃からロジャー・ウォーターズ (Roger Waters; bass/vocal) の
イニシアチブが強くなってメンバー間で対立するようになり、このアルバムの制作中にもキーボード奏者のリチャード・ライト (Richard Wright) が解雇されるということも起こり、メンバー間の亀裂が深くなっていった (ロジャー・ウォーターズ対デビッド・ギルモア (David Gilmour; guitar/vocal) & ニック・メイソン (Nick Mason; drums) という構図。ロジャー・ウォーターズはその後1985年にバンドを脱退) 。このように、このアルバムはバンドの転換期に制作された作品でもあるのだ。
「仲良く★激しく★美しく」最強の女子力ユニットというコンセプトで結成された、カシオペア 3rd のキーボード奏者・大髙清美と天才女子高生ドラマー・川口千里ちゃんによるユニット " KIYO*SEN " のアルバム。新宿のタワレコでたまたま見つけ、思わず買ってしまった (一応試聴したけど) 。
収録されている9曲のうち8曲が大髙清美による作品で (うち 1 曲は川口千里との合作) 、冒頭からドライブの聴いたナンバーの連続で、内容的には全編フュージョン/インストゥルメンタル・ロックという感じだ。大髙清美のハモンドオルガン & キーボードと、ますます進化した感のある川口千里のドラムを堪能できるアルバムだと思う。
ここ何年か、日本のジャズ/フュージョン界は若い女の子の活躍が目立っているけど、このユニットの結成によって、この傾向はまだまだ続きそうなだな。
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