♬ 音楽CD&DVD ♪

■CD編 - 2021年 

最近買った音楽CDやDVDについてのページです。ブログやPCに保存してある日記に書いていたもを集めて、一部加筆・修正して一覧にしてあります。このページで紹介しているCDは2021年に買ったCDです。

 

Date: 2021/12/18
Artist:Al Di Meola
Title: Casino


al2 ジャズ/フュージョン・ギタリスト、アル・ディ・メオラの1978年に発表されたサード・アルバム(1998年リマスタリング盤)。昔のアルバムで持っていないものを買おうと思って、今回はこの作品を買うことにしたのだ。

アル・ディ・メオラといえば、チック・コリア(Chick Corea)率いるリターン・トゥ・フォーエバー(Return To Forever: RTF)に参加したり、ジャズロック・ギタリストのジョン・マクラフリン(John McLaughlin)やジャズ/フュージョン・ヴァイオリニストのジャン=リュック・ポンティ(Jean-Luc Ponty)などとのコラボレーションで知られているが、この作品は彼がRTFを離れてソロになってからの3作目の作品だ。レコーディングにはアンソニー・ジャクソン(Anthony Jackson; bass)やスティーヴ・ガッド(Steve Gadd; drums)も参加している。

サンタナを彷彿させるラテン・ロック風のナンバー「Egyptian Danza/エジプトの舞踏」に始まるこのアルバムは、全体的にラテンの雰囲気を感じさせ作品だ。哀愁漂うギター・フレーズが印象的な「Dark Eye Tango/黒い瞳のタンゴ」、RTFのアルバムにも収録されていた「Señor Mouse/セニョール・マウス」へとつづく。そして4つのパートからなる組曲「Fantasia Suite For Two Guitars/2つのギターのための幻想曲」では、2本のアコースティック・ギターを多重録音して1人ギター・デュオを演じている。そしてこれまた大作のアルバム・タイトル曲「Casino」で締めくくっている。

いずれにしてもこの作品は、最初から最後まで彼の”神業的”はギター・テクニックを堪能できる内容になっていて、ロック/フュージョン・ギター好きにとってはなくてはならない作品の一つだと思う。

Date: 2021/12/18
Artist:U-NAM
Title: Love in Motion (Future Love Part 3)


u-nam4 スムースジャズ・ギタリスト、U-NAMの新作アルバム(かな?)。新宿のタワレコでたまたま見つけ、思わず買ってしまった。

ビッグバンドとコラボした前作とは打って変わって、今回の作品は、アルバムタイトルにあるように〈Future Love〉3部作の第3作目で(あれ? 1作目は持っているけど、2作目は持っていないぞ…)、いつものようなジョージ・ベンソンばりのメロウ・トーンで爽快なギター・サウンド満載の内容になっている。

収録されている曲のほとんどが彼の手による作品で、アレンジ、プロデュースも彼自身によるものだ。この作品でも、彼はギター以外にも、ベース、シンセベース、キーボード、プログラミングなどもやっていて、彼の多彩な才能が詰め込まれた作品と言える。ちなみに、7曲目の「For What It's Worth」では英国のジャズ・ギタリストのロニー・ジョーダン(Ronny Jordan)がフィーチャーされているが、彼は2014年に亡くなっているので、この曲は彼の最後のレコーディングとなっているようだ。

彼のギターが堪能できるこのアルバムは、街中や車の中でも聴きたくなる作品で、スムースジャズ・ギターが好きな人にとって、押さえておきたい作品の一つだと思う。

Date: 2021/12/18
Artist: 高木里代子
Title: Celebrity Standards


riyoko ジャズ・ピアニスト、高木里代子の新作アルバム。Twitterで彼女のツイートを目にしていて気にはなっていたのだ。今回この新作が発売されたので、新宿のタワレコで早速買ってきたのだ。

今回のアルバムは、Steelpan Records 第1弾でピアノトリオのアルバムとして発表されたもので、トリオのメンバーは彼女(piano)の他に、勝矢匠(bass)、Yoichiro Yamauchi(drums)だ(うーん、2人とも知らない人だ…)。

リー・ハーライン(Leigh Harline)作曲のディズニー映画『ピノキオ』の有名な主題歌で、多くのミュージシャンによってカバーされた「When You Wish Upon a Star」(星に願いを)で始まるこの作品は、ジャズ(Paul Desmond作の「Take Five」など)やミュージカル(Arthur Schwartz作の「You and Night and The Music」)のスタンダード曲の他に、彼女のオリジナル曲(11曲中6曲)で構成されていて、アップテンポでグルーヴ感溢れるナンバーから、メロウなバラードまで、彼女のピアノトリオによるストレートアヘッドなジャズを聴かせてくれている。

ところで、タワレコのサイトをチェックしていたら、1月26日には続編のアルバムは発売されるらしい。こちらもチェックしておかなければ。

Date: 2021/10/22
Artist: 西山瞳トリオ
Title: Calling


hitomi_nishiyama5 ジャズ・ピアニスト、西山瞳の新作アルバム。新作が出たのはタワレコのオンライショップで見つけていたので、新宿のタワレコに行った時に買ったのだ(彼女のアルバムは久々に買ったような気がする)。

彼女は最近はヘヴィメタ曲をカヴァーしたNHORHMでの作品を発表したりしていたが(そのうち1枚を買った)、今回のアルバムは2014年の『Shift』以来7年ぶりのピアノトリオでのスタジオ録音アルバムのようだ。ピアノトリオのメンバーは、彼女(piano)の他に、佐藤”ハチ”恭彦(bass)、池長一美(drums)で、以前のアルバムでも共演した人たちだそうだ。
収録されているのは全曲彼女のオリジナル曲で、彼女のピアノをじっくり聴き込んでいく、そんな感じの作品になっていると思う。

なお、タワレコの商品紹介によると、「タイトル曲「Calling」は、デビュー前の活動初期からホームグラウンドとして共に歩み、コロナ禍の中でひっそりと閉店した神戸のライブスペース CREOLE に捧げられた曲」だそうだ。

Date: 2021/10/22
Artist: Larry Carlton & Paul Brown
Title: Soul Searchin'


Larry_Paul ”Mr.335” ラリー・カールトンの待望の新作スタジオ・アルバム。今回のアルバムはスムース・ジャズ・ギタリストのポール・ブラウンとの共演アルバムだ。新作が出たという話は知っていたので、さっそく買ったのだ。

ラリー・カールトンはこれまでリー・リトナーをはじめ、スティーヴ・ルカサー、ロベン・フォード、B'z の松本孝弘、デヴィッド・T・ウォーカーなど多くのギタリストと共演してきた。一方のポール・ブラウンはスムース・ジャズ系の人気ギタリストで、パティ・オースティンやジョージ・ベンソンなどの多くのミュージシャンのアルバム制作にも携わってきた敏腕プロデューサーでもある(むしろプロデューサーとしての経歴の方が長い)。

今回のアルバムは、ジャズやブルース、ファンキーな楽曲満載で、随所でラリー・カールトンとポール・ブラウンという2人のギタリストの絶妙なハモリやソロを満喫できるなかなかいい作品だと思う。また、9曲目の「Shelter」というカントリーっぽい曲では、2人によるアコースティック・ギターをバックにポール・ブラウンの渋いヴォーカルも聴くことができる。

ところで、レコーディングに参加ミュージシャンのクレジットされている人の名前を見ていたら、面白いことに気がついた。
ハモンドオルガン/キーボード・プレイヤーとしてクレジットされていた人はブラザー・ポール・ブラウン(Bro Paul Brown)という紛らわしい名前の人だ。一見ポール・ブラウンの兄弟なのかと思ってしまうが、実は赤の他人で兄弟ではないそうだ。ポール・ブラウンの公式サイトには、「his blues keyboardist friend with the same name known as "Brother Paul Brown."」とあるので、彼の友人のようだ。

Date: 2021/10/22
Artist: Yucco Miller
Title: Colorful Drops


yucco2 サックス奏者、ユッコ・ミラーの新作アルバム。10月13日に新作が発売されたので、新宿のタワレコで早速買ってきたのだ(初回限定盤の[CD+DVD]を買った。新宿のタワレコに行くのも久しぶりだった)。

僕が彼女のことを知ったのは、何年か前に町田のジャズフェスティバルを見に行った時だった。その時以来、注目するようになったのだが、最近は”サックスYouTuber”として、そしてメディアにも登場するようになって、だんだんと頭角を表してきているように思う。可愛らしい(一部には”奇抜”と評されることもあるようだ)ルックスとは裏腹に、かなりの実力の持ち主だ。

今回のアルバムは彼女の4作目の作品だが、カバー曲を中心に構成された本格的ジャズ・アルバム(ジャズ・スタンダードだけでなく、「名探偵コナン」のテーマや「宝島」など多彩な楽曲で構成され、全体的に聴きやすく、いい作品だ)だった前作とは打って変わって、今作では彼女のオリジナル曲を中心とした(9曲中8曲)フュージョンという内容だ。アプテンポのナンバーからメロウなナンバーまで多彩な楽曲で構成され、楽曲によってアルトサックス、ソプラノサックス、EWI(Electronic Wind Instrument:ウィンドシンセサイザー)を使い分けていて、彼女のサックスの実力を遺憾なく発揮した作品になっていると思う。また、8曲目のジャズ・スタンダード「Fly Me To The Moon」では、何とヴォーカルも披露している。

これを聴いていると、次はどんな作品になるのか、彼女はどこまで進化するのか、楽しみになってくる。

DVDの方は、アルバム1曲目の「Smoky Light」のミュージック・ビデオ、それからレコーディングの様子とインタビューが収録されている。

Date: 2021/9/4
Artist: 上原ひろみ The Piano Quintet
Title: Silver Lining Suite


hiromi26 上原ひろみの待望の新作アルバム。9/8に発売されることは分かっていたので、事前にタワレコのオンラインショップで予約していたのだ(ボーナスCD付きの初回限定盤を買った)。

今回はピアノと弦楽四重奏による新プロジェクト "The Piano Quintet" によるものだ。このプロジェクトによる演奏は、年末から年始にかけて、ブルーノート東京でのライブ "SAVE LIVE MUSIC RETURNS" で初披露され(僕は1月4日のライブをストリーミング配信で試聴した)、とても素晴らしいライブで、もう1回聴きたいと思っていたのだ。それが今回アルバムとして発売されることを知って、とても楽しみにしていたのだ。

ピアノ・クインテットのメンバーは、彼女(piano)と西江辰郎(1st violin)、ビルマン聡平(2nd violin)、中恵菜(viola)、向井航(cello)だ(ヴィオラ奏者はライブの時とは異なる)。
収録されている曲は全て彼女の作編曲によるもので、どれもライブで演奏されていたものだ。「Isolation/The Unknown/Drifters/Fortitude」の4つの曲からなる組曲「Silver Lining Suite」で始まり、スペインのワイン産地の名がつけられた「Ribera Del Duero」で締め括られる今回のアルバムは、ジャズとクラシックを見事に融合させた、これまでとは一味も二味も違う作品になっていると思う(個人的見解ですけど)。そして最大のハイライトは(と、これも個人的にはそう思っている)、アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスとのピアノ・トリオ "The Trio Project" による2作目『MOVE』に収録されていた「11:49PM」だ。彼女のピアノとアンソニー・ジャクソンのコントラバス・ギター、サイモン・フィリップスのドラムスが一体となって繰り広げられる壮大な感じのこの曲(ライブでの演奏は鳥肌が立つほどすごかった)が、今度はピアノ+弦楽四重奏によるピアノ・クインテットによって感動を覚えるほどの作品に生まれ変わっている(僕はこの曲は彼女の作品の中で一番の名曲だと思っている)。
今回の作品は、彼女のピアノと、1st violin/2nd violin/viola/celloのそれぞれの奏者が高いレベルで化学反応を起こして、独自の音楽の世界に昇華させているものになっていると思う。とにかく素晴らしいの一言に尽きる。

ボーナスCDは、去年の9月10日から11日かけてブルーノート東京で行われた "SAVE LIVE MUSIC" の第3弾 "BALLADS" のライブ音源だ。僕はこの第3弾のライブをうっかり見逃してしまっていたので、この見逃してまったライブがボーナスCDとして付いていたのを見て、本当に驚いたとともに、感謝した(まるで、僕が見逃したのを知っていて、付けてくれたかのようだ。まぁ、偶然そうなったのだろうけど…)。

Date: 2021/9/4
Artist: TRIX
Title: Ring


trix2 日本のフュージョンバンド、TRIXの新作アルバム。タワレコのオンラインショップで見つけ、試聴してみたら結構よかったので、買うことにしたのだ。

4月に彼らの2020年8月にリリースされたアルバム『Present』を買ったんだが、今回のアルバムは今年の8月にリリースされたばかりの最新作だ(これで18年連続リリースを継続中ということになるようだ)。所属レーベルであるキングレコードの公式サイトの説明によると、「世界中がどんなに困難な状況にあっても、その歩みを止めることなく突き進むTRIXが、今作では昨今の世界的な社会情勢から影響を受け、「RING=人の輪」や「人と人との繋がり」といった想いをぎゅうっと詰め込んだ作品」ということのようだ。

日本を代表する2大フュージョンバンド、カシオペアとTスクウェアの元メンバー(熊谷徳明:drums、元カシオペア、須藤満:bass、元Tスクウェア)を擁するだけあって、これら2つのバンドの雰囲気を醸し出しつつ、全体的にアップテンポのポップな楽曲で構成され(メロウな楽曲もあるが)、新型コロナ禍が続く今の世の中の抑圧された雰囲気を吹き飛ばして、元気を貰えるような内容で、なかなかいい作品に仕上がっていると思う。

Date: 2021/9/4
Artist: Wes Montgomery
Title: Boss Guitar+2


wes2 伝説のジャズ・ギタリスト、ウェス・モンゴメリーの1963年の作品。昔のアルバムで持っていないものを買うシリーズ(と勝手に言っているだけだけど…)のジャズ編。今回はこのアルバムを買うことにしたのだ(今回も例によってタワレコのオンライショップで買った)。オリジナルは1963年にリリースされたものだが、このCDはボーナストラック2曲を追加して、2016年にユニバーサル・ミュージック・ジャパンからSHM-CDとして発売されたものだ(なので、アルバムのタイトルに”+2”がついている。

このアルバムではオルガンを擁したトリオ編成での演奏になっている。トリオのメンバーは、彼の他に、隠れたオルガンの名手メルヴィン・ライン(Melvin Rhyne)、それに昨年91歳で亡くなった伝説のジャズ・ドラマー、ジミー・コブ(Jimmy Cobb)と豪華な顔ぶれだ。オルガンとドラムをバックに、彼のギターが縦横に駆け回っていて、彼の代名詞とも言えるオクターヴ奏法を随所に披露し、現代にまで続くジャズ・ギターの礎を築き上げ、多くのジャズ・ギタリストに影響を与えた彼のプレイを堪能できる作品だ。

Date: 2021/6/20
Artist: Beck, Bogert & Appice
Title: Beck, Bogert & Appice Live in Japan


beck3 3大ロックギタリストの一人、ジェフ・ベックがかつて結成していたグループ、ベック・ボガート&アピス(BBA)の2枚組ライブアルバム。昔のアルバムで持っていないものを買うシリーズ(と勝手に言っているだけだけど…)のロック編。今回はこのアルバムを買うことにしたのだ(例によってタワレコのオンライショップで買った)。

実は、2枚組のこのライブアルバムから選りすぐって1枚に集約したLPレコードを高校生の時に買って、よく聴いていたんだが、ライブ全体を収録したこのアルバムは持っていなかったのだ(当時はその存在すら知らなかったと思う)。

1972年にジェフ・ベック(Jeff Beck: guitar)、ティム・ボガート(Tim Bogert: bass)、カーマイン・アピス(Carmine Appice: drums/vocal)の3人によって結成されたBBAは当時「最強のロック・トリオ」と形容され、1973年5月に日本ツアーを行った(これがジェフ・ベックの初来日となった)。そのツアーの5月18日、19日に行われた大阪の厚生年金会館でのライブを収録したこのアルバムは、日本のみで発売された貴重なライブアルバムなのだ。

スティーヴィー・ワンダーの大ヒット曲「Superstition/迷信」で幕を開けるこのライブアルバムでは、ティム・ボガートとカーマイン・アピスの重厚なリズムセクションをバックに、ジェフ・ベックのギターが縦横無尽に駆け抜け、「世界最高のロック・ギタリスト」の呼び名の高かった彼のギターを存分に堪能できる内容になっている。リード・ヴォーカルはドラムのカーマイン・アピスが担当していたが(一部はベースのティム・ボガートも)、「Black Cat Moan/黒猫の叫び」ではジェフ・ベックの貴重なヴォーカル(トーキング・モジュレーションを併用している)も聴くことができる(僕も彼のヴォーカルはこれしか知らない)。

なお、BBAは1973年に発表されたスタジオ録音の『Beck, Bogert & Appice』とこのライブアルバムの2作のみを残し、1974年、2作目のスタジオ録音盤の完成前に自然解散となってしまった。ということで、このアルバムは、ジェフ・ベックの”バンド名義”としては最後の音源という貴重なアルバムでもあるのだ。

Date: 2021/6/20
Artist: 挾間美帆
Title: A Little Dancer in Nowhere


miho_hazama ニューヨークを拠点に活動するジャズ作曲家、挾間美帆の2018年にリリースされた3作目のアルバム。以前からちょっと気になっていたアルバムだったので、今回買うことにしたのだ(タワレコのサイトでは試聴できなかったので、別のサイトで試聴した)。

僕は彼女のことをよく知らなかったので、ネットで調べてみた。それによると(ざっくりだけど)、幼少の頃よりエレクトーンを学び、大学では作曲を学ぶ傍ら、学生ビッグバンドでピアノを演奏。その後ニューヨークの大学院に留学しジャズ作曲を学んだ後、自身のユニット「m_unit」を立ち上げ、ジャズ作曲家としてデビュー。ニューヨークのジャズシーンの最先端でジャズ作曲家として活躍。2016年には米ダウンビート誌の「未来を担う25人のジャズアーティスト」に選ばれ、さらには2019年10月からはデンマークラジオ・ビッグバンドの首席指揮者を、2020年8月からはオランダの名門メトロポール・オーケストラの常任客演指揮者に就任するなど、グローバルに活躍中、とのことだ。

ジャズのビッグバンドというと、普通はサックスやトランペット、トロンボーンなど管楽器が中心の編成をイメージするが、彼女のラージアンサンブル・m_unitは管楽器だけでなくヴァイオリンやヴィオラ、チェロといった弦楽器も加わっている(もちろん、ベースとドラムも)。今回の買ったこのアルバムは、8曲中7曲が彼女のオリジナル曲で、いつも聴いているジャズのアルバムとは一味も二味も異なり、彼女の独自のコンテンポラリーなジャズの世界が広がっている。これがクラシックとジャズという2つの背景を持つ彼女が目指す、管弦楽とジャズの架け橋になるということの一つの回答なのだろう。これはなかなかいい作品だと思うし、以前の作品も聴いてみたくなった。それに今後の作品がどんなものになるのか楽しみでもある。

ちなみにこのアルバムは、2019年米グラミー賞ラージ・ジャズ・アンサンンブル部門にノミネートされたそうだ。それだけ高く評価された作品ということだ。

Date: 2021/6/20
Artist: Brian Bromberg
Title: A Little Driving Music


brian_b3 凄腕ベーシスト、ブライアン・ブロンバーグの新作アルバム。タワレコのオンライショップで見つけ、試聴してみたら(タワレコのサイトでは試聴できなかったので、別のサイトで試聴した)、結構よかったので買うことにしたのだ。

彼はおよそベースと名のつく楽器ならなんでも弾きこなす凄腕ベーシストだ。今回のアルバムでも、エレクトリック・ベースはもとより、アップライト・ベース、ピッコロ・ベースも弾いている(ギター・ソロのように聴こえるのがピッコロ・ベースの音だ)。音楽的には彼はストレート・アヘッドなジャズから親しみやすいスムース・ジャズまで幅広いが、今回のアルバムは『A Little Driving Music』(ちょっとしたドライビング・ミュージック)というタイトルにあるように、オープニングから「これでコロナ禍を吹き飛ばしてくれ!」と言わんばかりの元気が出るナンバーで始まり、小気味よいナンバーからメロウなナンバーまで、まさにドライブにもってこいのスムース・ジャズ・ナンバーで構成されている。それも、1曲(5曲目の「Walking on Sunshine」)を除いて全て彼の書き下ろしの新曲だ。

レコーディングに参加しているミュージシャンは知らない人がほとんどだが(商品紹介には豪華なゲストとある…すみません。知らなくて)、「Walking on Sunshine」ではデイブ・コーズ(Dave Koz)がアルト・サックスで参加している。

新型コロナの新規陽性者数が再び増加して、東京ではまた緊急事態宣言が出され、オリンピックも首都圏の会場は無観客での開催になり、残念な状況が続いているが、ミュージシャンがこの作品のような元気が出る音楽を出して暗いムードを吹き飛ばしてくれているのが、せめてもの救いだと思う。

Date: 2021/4/10
Artist: Chick Corea
Title: Return To Forever


corea4.jpg 今年2月に79歳で亡くなったジャズ・ピアノの巨匠、チック・コリア(Chick Corea)の1972年に発表されたアルバム。ということで今回は、彼を偲んで昔の作品でまだ持っていないものを買うことにした。今回も例によってタワレコのオンライショップで買った。

このアルバムは彼のソロ名義のアルバムだが、実質的に同名のバンドとして新たに立ち上げたリターン・トゥ・フォーエバー(RTF)のデビューを飾る記念すべきアルバムで、<かもめ>として語られているジャケットも印象的なアルバムだ。

当時のメンバーは、彼(electric piano)の他に、スタンリー・クラーク(Stanley Clarke: electric bass/double bass)[1] 、ジョー・ファレル(Joe Farrell: flutes/soprano sax)、アイアート・モレイラ(Airto Moreira: drums/percussion)、フローラ・プリム(Flora Purim: vocal/percussion)だ [2] 。

ブラジル出身のアイアート・モレイラとフローラ・プリムがメンバーとして名を連ねていることもあり、サンバなどのラテン音楽の要素を取り入れた作品になっていて、「スペイン(Spain)」(1973年に発表されたアルバム『Light as a Feather』に収録されている)と共に初期のRTFを代表する名曲「ラ・フィエスタ(La Fiesta)」が収録されている(この2曲はその後多くのミュージシャンによってカバーされることになる)。また、フローラ・プリムによるヴァーカルもフィーチャーされているのも興味深い。

これは単に1970年代のフュージョンの大ヒット作というだけでなく、今聴いても全く色褪せていない作品だと思う。


[1] リターン・トゥ・フォーエバーはチック・コリアとスタンリー・クラークを中心としたバンドと言って過言ではない。
[2] アイアート・モレイラとフローラ・プリムは共にブラジル出身のミュージシャンだ。

Date: 2021/4/10
Artist: クリヤ・マコト、 納浩一、 則竹裕之
Title: Acoustic Weather Report 2


AWR2.jpg クリヤ・マコト(piano)、納浩一(bass)、則竹裕之(drums)という日本のジャズ/フュージョン界の3人の実力派ミュージシャンによって結成された「アコースティック・ウェザー・リポート(AWR)」の2019年に発売された第2弾のアルバム。去年、第1弾のアルバム(2016年発売)を買い、結構気に入ったので、第2弾も買おうと思っていたのだ。今回も例によって、タワレコのオンラインショップで買うことにした。

このプロジェクトは、1970年代フュージョン・バンドの最高峰といわれる「ウェザー・リポート(Weather Report)」の音楽を、生音で(Acoustic)、しかもピアノトリオ編成によって新解釈・再現し、その魅力を再発見しようというコンセプトのもとで始まったものだ。たしかに取り上げられている楽曲はウェザー・リポートの楽曲だが、知らずに聴いたら新たなピアノトリオのオリジナルアルバムではないかと思えるほどで、まるでどこかのジャズ・クラブで生演奏を聴いているような臨場感あふれる作品になっていると思う。

なお、9曲目と10曲目はボーナス・トラックになっていて、9曲目の「Deep Insight」はBS-TBSの「報道1930」のテーマ曲としてクリヤ・マコトが書き下ろしたオリジナル曲で、レコーディングにはトランペット奏者のエリック・ミヤシロ、サックス奏者の本田雅人も参加し、ピアノトリオにトランペットとアルト・サックスの2管が加わり、白熱の演奏が繰り広げられている。10曲目「Deep Insight (Reprise)」は同番組のエンドテーマ曲で、9曲目をピアノトリオで少しゆったりしたテンポでプレイしている。9曲目と聴き比べるてみると、その違いがはっきり出ていて面白い。

AWRの第3弾のアルバムが出るのかどうかはわからないが、第1弾、第2弾と聴いてしまうと、どうしても第3弾を期待してしまう。出してくれないかなぁ。

Date: 2021/4/10
Artist: TRIX
Title: Present


trix.jpg 日本のフュージョン・バンド、TRIX の2020年8月にリリースされたアルバム。今回もタワレコの店舗ではなくオンライショップで見つけ(ジャケットの小さな女の子がワクワクしながらプレゼントの箱を開けている写真が目にとまった)、試聴してみたら結構良かったので買うことにしたのだ。

僕はこのバンドのことを全然知らなかったので調べてみたら、元カシオペアの熊谷徳明(drums)と元T-Square の須藤満(bass)、佐々木秀尚(guitar)、AYAKI(keyboards)の4人によるバンドのようだ。タワレコの商品紹介によると、カシオペアと T-Square の元メンバー2人を擁するバンドということもあり、カシオペアと T-Square の両方のDNAを受け継いで、その王道をひた走るフュージョン・バンドということらしい。バンドのデビューは2004年ということなので、もう17年も前のことで、その間毎年アルバムを発表し続け(僕はその間全然知らなかったということか…)、このアルバムは彼らの17枚目のアルバムのようだ。

全体を通して聴いてみて、まさに日本のフュージョンという感じで、雰囲気としてはオープニングはまさに T-Square という感じだったが、聴き進めていくうちに、カシオペアっぽい曲もあり、カシオペアと T-Square のいいとこ取りなのかなという感じはした。それはさておき、全体的にポップな要素もあり、聴きやすく、なかなかいい作品だと思う。
こりゃ、過去の作品も聴いてみる必要がありそうだな。

Date: 2021/2/11
Artist: 小林香織
Title: NOW and FOREVER


kaori23.jpg サックス奏者、小林香織の新作アルバム。2月10日に新作が発売されたので、早速買ったのだ(今回もタワレコのオンライショップで買った。ただし、諸般の事情で通常盤を買った。でも、特典として写真が1枚付いていた)。

今回のアルバムは、彼女のデビュー15周年記念アルバムということで(もう15年も経ったのか! 月日が経つのは速いものだ)、レコーディングには彼女のバンド(小林香織バンド)の他に、ギタリストの鈴木茂&ハックルバックをはじめ、多彩なゲストミュージシャンが参加しているようだ。

内容的には、全体を通して、いかにも彼女らしい親しみやすいメロディと都会的センスに溢れた作品で溢れている感じだ。途中、「Solar」、「Airflow」、「Shooting Star / 流れ星」などといった過去の作品に収録されていた楽曲も新たなアレンジで収録されている。さらに、2人の海外の女性ヴォーカリスト(Natalie Oliveri:12曲目、Sian Kelly:13曲目)がフィーチャーされた楽曲のような、新たな試みもしている(ヴォーカルがフィチャーされている曲は初めて聴いたような気がする)。

彼女自身もいつものアルトサックスに加えて、テナーサックス(過去の作品でも吹いていた)、ソプラノサックス(今回初めて聴いたような気がする)、それからフルート(これはもうお約束という感じだ)も吹いている。

今回の作品は、デビュー15周年を迎えて彼女の集大成ー これぞ小林香織ーという感じで、彼女の音楽を存分に堪能できる、グッドな作品に仕上がっていると思う。

Date: 2021/2/11
Artist: U-NAM
Title: U-NAM Goes Big Band


u-nam3.jpg スムースジャズ・ギタリスト、U-NAMのビッグバンドとのコラボアルバム。前からちょっと気になっていたこのアルバム。いつものように試聴はしなかったものので(視聴できるサイトが見つからなかった)、今回タワレコのオンライショップで買うことにしたのだ。

U-NAMのこれまでのアルバムといえば、ジョージ・ベンソンを彷彿とさせるメロウトーンのギターで、R&Bやファンク色が強い作品だったが、今回は打って変わってビッグ・バンドとのコラボだ。今回コラボしているのはドイツの作曲家・アレンジャー、ルッツ・クラジェンスキー(Lutz Krajenski)率いるビッグ・バンド、ルッツ・クラジェンスキー・ビッグ・バンド(Lutz Krajenski Big Band)だそうだ(う〜ん、知らない人たちだ…)。

ビッグ・バンドをバックに、U-NAMのクリアトーンのギターが縦横に駆け回っていて、聴いていて楽しくなる作品だ。また、ヴォーカルがフィーチャーされている楽曲も2曲収録されている。8曲目の「The Dance Must Go On」では、スサンナ・アレクサンドラ(Susanna Aleksandra)というエストニア出身(現在はフィンランド在住)のジャズ・シンガーで、11曲目の「Each Day’s A Gift」では、スティーヴ・ブルックスタイン(Steve Brookstein、彼は英国のオーディション番組『The X Factor』のシリーズ1で優勝したそうだ)という英国のシンガーだそうだ(二人とも知らない人だ…)。

今回のアルバムはビッグ・バンドとのコラボということで、これまでとは違う雰囲気の作品だが、ビッグバンドのスウィングと彼のギターが絡み合う、彼の音楽の別の一面を垣間見ることのできる作品になっていると思う。