♬ 音楽CD&DVD ♪

■CD編 - 2023年 

最近買った音楽CDやDVDについてのページです。ブログやPCに保存してある日記に書いていたもを集めて、一部加筆・修正して一覧にしてあります。このページで紹介しているCDは2023年に買ったCDです。

 

Date: 2023/11/3
Artist: Larry Carlton
Title: Sleepwalk/夢飛行


larry9 ジャズ/フュージョン界のレジェンド・ギタリスト、ラリー・カールトンの1982年発表のアルバム。昔のアルバムで持っていないものを買おうジャズ/フュージョン編(と、勝手に呼んでいるが)ということで、今回はこのアルバムを買うことにしたのだ。

遡ること6年、1976年にザ・クルセイダーズ(The Crusaders)を脱退した後、1978年には後に彼の代名詞となる曲「Room 335」が収録されたソロアルバム『Larry Carlton(邦題:夜の彷徨)』を発表し、ジャズ/フュージョン・ギタリストとしての名声を確立した。その後、1980年には『Strikes Twice』を発表し、そしてその2年後の1982年に発表されたのが今回買ったアルバム『Sleepwalk(邦題:夢飛行)』だ。

レコーディング・メンバーとしては、デヴィッド・サンボーン(David Sanborn; alto saxophone)、エイブラハム・ラボリエル(Abraham Laboriel; bass)、スティーヴ・ガッド(Steve Gadd; drums)、ジェフ・ポーカロ(Jeff Porcaro; drums、元TOTO)など、そうそうたるミュージシャンたちが参加している。

今回のアルバムは、ブルージーなテイストのギターから、ドライブ感あふれるギター、はたまた繊細なギター・トーンでメロディアスなギターまで、彼のギターを存分に堪能できる作品になっていると思う。また、アルバム・タイトルにもなっている「Sleepwalk」は、元々はアメリカ人兄弟のインスト・デュオ、サント&ジョニーが1959年に発表した曲で、YouTubeの映像を見ると、ギターをバックに主旋律はスティール・ギターで演奏されていて、ハワイアン・テイストの曲だった [1]。この曲を彼はボリューム調整や微妙なピッキング、フレージングのタメなどを駆使して、最高のパフォーマンスを引き出している。今ではこの曲は「Room 335」と並ぶ彼の代表曲の一つと言っていい曲になっていると思う(個人的見解です)。

なお、クレジットを見ると、このアルバムでは、彼は「Gibson ES 335」と「Valley Arts Stratocaster」を使い分けていて、「Sleepwalk」もValley Arts Stratocasterで演奏していた(これは知らなかった!)。


[1] サント&ジョニーの「Sleep Walk」のライブ映像はこちら。

Date: 2023/11/3
Artist: 高木里代子
Title: Midnight in Blue


riyoko5 ジャズピアニスト、高木里代子の新作アルバム。新宿のタワレコで見つけ、試聴してみたら、なかなか良かったので買うことにしたのだ。

このアルバムは、2021年から立て続けに発表されている彼女のストレートアヘッドジャズ第4弾のアルバムで、実は過去3作も買っていたのだ。彼女(piano)以外のレコーディングメンバーは前作『The Piano Story』と同じく、井上陽介(bass)、則竹裕之(drums:元T-Square)だ。

彼ら3人によるピアノトリオで紡ぎ出されるオリジナルとスタンダードを交えた、スローバラードからアップテンポまで多彩な楽曲で構成されている今回のアルバムは、週末の夜、お酒でも飲みながらストレートアヘッドなジャズを聴きたいときにぴったりの1枚だと思う。

彼女の生演奏は、今年の夏、町田一番街夏フェスに出演した時初めて聴いたが、その時はソロピアノでの出演だったので、ピアノトリオでのライブに行きたいと思っているのだが、スケジュールの都合で未だに実現できていない。来年はライブに行けるかな?

Date: 2023/11/3
Artist: Yucco Miller
Title: Ambivalent


yucco4 サックス奏者ユッコ・ミラーの新作アルバム。新作が出たというのは知っていたので、新宿のタワレコで買ってきたのだ。

ピンクのヘアーがトレードマークの実力派サックス奏者の彼女だが、今回のアルバムは彼女にとって6作目の作品で、レコーディングメンバーは、彼女(alto saxophone/baritone saxophone/vocal)の他に、曽根麻央(piano/keyboards/trumpet)、中村裕希(bass)、山内陽一朗(drums)、馬場桜佑(trombone)といった面々だ。今回のアルバムでは、彼女はアルト・サックス以外に、バリトン・サックス(「KICK BACK」、「可愛くてごめん」)も演奏している。さらに、ヴォーカル(「Melted Cheese」、「Just the Two of Us」[1] 、「やさしいかぜ」)も披露している(「やさしいかぜ」ではリコーダーも吹いている)。

オリジナル楽曲(11曲中6曲)とカバーを織り交ぜた今回のアルバムでは、ジャズ/フュージョンからラテンの香りのする楽曲、ロック、ポップなど、まさにアルバムタイトル『Ambivalent』のように相反する雰囲気の楽曲で構成されている。いずれにしても、彼女のサックスを十分堪能できる内容になっていると思う。


[1] ラルフ・マクドナルド(Ralph MacDonald)、ビル・ウィザース(Bill Withers)、ウィリアム・ソルター(William Salter)によるこの曲は、サックス奏者グローヴァー・ワシントンJr.(Grover Washington Jr.)が1980年に発表したアルバム『Winelight』に収録されていて、グラミー賞ベストR&Bソング賞を受賞している。なお、ヴォーカルはビル・ウィザースによるものだ。

Date: 2023/9/9
Artist: Return To Forever featuring Chick Corea
Title: Hymn of the Seventh Galaxy [第7銀河の讃歌]


rtf4 ジャズピアニスト/キーボード奏者のチック・コリアとベーシストのスタンリー・クラークを中心に1970年代に活動を開始した米国のフュージョンバンド・リターン・トゥ・フォーエバー(Return To Forever: RTF)の1973年に発表されたアルバム。昔のアルバムで持っていないものを買おう・ジャズ/フュージョン編(と勝手に呼んでいるが)ということで、今回はこのアルバムを買うことにしたのだ。

これはRFT第2期の作品で、バンドのメンバーはチック・コリア(Chick Corea: piano/keyboards)、スタンリー・クラーク(Stanley Clarke: bass、アルバム・クレジットでは Stan Clarke と表記されている)、ビル・コナーズ(Bill Connors: guitars)、レニー・ホワイト(Lenny White: drums)の4人だ。

「Hymn of the Seventh Galaxy(第7銀河の讃歌)」、「After the Cosmic Rain」、「Captain Senor Mouse」(「Spain」と並ぶRFTのヒット曲だ)などのRFTの代表曲が収録されたこのアルバムは、全体を通してエレクトリック・サウンド中心でロック色が強く、メンバーそれぞれが超絶技巧を凝らしたパワフルな演奏でぶつかり合い、血湧き肉躍る作品になっていると思う(個人的感想ですけど)。

最近の音楽に聴き慣れていると、このような作品は古臭い(確かに1973年発表なので、半世紀前の作品だが)と感じる人もいるかもしれないけど、その時代のジャズ/フュージョンやロック・シーンを知る上で、欠かせない作品だと思う。それにたまには昔の作品を聴くのもいいものだ。

Date: 2023/9/9
Artist: 山中千尋
Title: Dolce Vita


chihiro22 ジャズ・ピアニスト、山中千尋の新作アルバム。新作が出たのは知っていたので、買おうと思っていたのだ。

今回のアルバムは、ともに今年3月に亡くなったサックス奏者のウェイン・ショーター(Wayne Shorter)と坂本龍一へ捧げるトリビュート・アルバムだ。

レコーディング・メンバーは、彼女(Piano, Fender Rhodes, B-3 Organ)の他に、ヨシ・ワキ(Yoshi Waki: bass)とジョン・デイヴィス(John Davis: drums)のいつものトリオ・メンバーの他に、ジェニファー・ヴィンセント(Jennifer Vincent: bass)、ラフラエ・サイ(LaFrae Sci: drums)と、曲によって2人のベーシストとドラマーが分担している。

この作品のため彼女が書き下ろした新曲「Dolce Vita」と「To S.」で始まるこのアルバムは、収録曲の大半がウェイン・ショーターの作品で構成されているが、アルバムの最後は、坂本龍一の2曲「Kimi Ni Mune kyun(「君に、胸キュン。」…言わずと知れたYMO時代の作品だ)」と「Andata」も収録されている。
アルバム全体を通して聴くと、彼女のスピード感あふれるダイナミックなピアノから、伸びやかでしっとりした響きのピアノまで、さらにエレクトリック・ピアノ(Fender Rhodes)とオルガン(Hammond B-3)といった彼女のさまざまなプレイと、それを支える2組のベーシストとドラマーのプレイを堪能できる内容になっていると思う。
これを聴いていると、先日のブルーノート東京でのライブの様子がありありと思い出される。

特典DVDの方は、「E.S.P.」、「Black Nile」、「Limbo」(どれもウェイン・ショーターの曲だ)のスタジオ・ライブ映像が収録されている。

ところで、3曲目に「A Stranger(久保田早紀の「異邦人」)」が収録されているけど、これには一体どんな意図が込められているのかな?

Date: 2023/9/9
Artist: 上原ひろみ Hiromi's Sonicwonder
Title: Sonicwonderland


hiromi30 上原ひろみの待望の新作アルバム。9月6日に発売されたばかりなので、新宿のタワレコで早速買ってきたのだ(初回限定盤CD+DVDを買った)。

彼女のバンドでのアルバムは2016年のアンソニー・ジャクソンとサイモン・フィリップスとのトリオ "The Trio Project" による『Spark』以来だが、今回はバンド名 "Sonicwonder" にあるように、"Sonic" とついているので、彼女が20代の頃のバンド "Sonicbloom" を思い出してしまう。"Sonicbloom" は、ピアノ、ベース、ドラムのそれ以前のトリオメンバー(トニー・グレイ(Tony Gray; bass)、マーチン・バリホラ(Martin Valihora; drums)にギター(デヴィッド・フュージンスキー(David Fiuczynski)という奇才ギタリスト))という編成だったが、今回の "Sonicwonder" では、彼女(piano, keiboards)の他に、アドリアン・フェロー(Hadrien Feraud ; bass、彼は2016年の "The Trio Project" のツアーで、急病のアンソニー・ジャクソンの代役を務めた)、ジーン・コイ(Gene Coye; drums)、それにアダム・アフォリル(Adam O’farrill; trumpet, w/pedals)の4人編成だ。彼女のバンドでトランペットのような管楽器が加わるのは初めてだと思う(デビューアルバムの中の1曲(だったかな?)でサックスが入っていたような気がする)。また、今回は以前のバンドの時のように、ピアノだけでなくキーボード(Nord Lead A1, Noed Electro 5D)も使用している。

アルバム全体を通して聴いてみて、以前の "The Trio Project" の時のように、まるでそれぞれのメンバーが楽器を通して会話し、化学反応と起こして、それぞれが最高のパフィーマンスを発揮しながら、それでいてなおかつ自分達の演奏を楽しんでいるかのような感じの作品に仕上がっていると思う。さらに、今回は6曲目の「Reminiscence」ではヴォーカル(オリー・ロックバーガー(Oli Rockberger)、彼は上原ひろみの学生時代からの友人だそうだ)がフィーチャーされている。「Reminiscence」はボーナストラックとしてインストバージョンも収録されているので、聴き比べてみるのもいい。
いずれにしても、今回の作品は彼女が以前から構想していたものが凝縮された作品で、彼女の音楽家としての構想力/創造力を感じさせる作品だと思う。

なお、特典DVDは、彼女とメンバーのインタビューと、Sonicwonder のヨーロッパツアー(フランス、スペイン、ドイツ、イタリア)の映像が収録されている。

ところで、11月から日本ツアー「JAPAN TOUR 2023 "Sonicwonderland" 」が始まるが、僕は12月の東京公演のチケットをすでに確保しているので、今から楽しみだ。

Date: 2023/7/15
Artist: 松居慶子
Title: Euphoria


keiko9 世界的スムースジャズ・ピアニスト、松居慶子の新作アルバム。
7月初めにブルーノート東京で彼女のライブに行ったので(その時はまだこのアルバムを買っていなかった)、タワレコで早速買ってきたのだ(初回スリーブ仕様、日本限定スペシャルジャケット、16Pブックレット付を買った)。

彼女のアルバムを買うのはコロナ禍前の2019年に発売された前作『Echo』以来なので、実に4年ぶりということになる。アルバム・タイトル『Euphoria』はどんな意味なのか調べてみたら、「強い高揚、幸福感」という意味らしい。タワレコのアルバム紹介によると、「このアルバムの芯となっているのは、"生命の力強さ"や"愛" 、”希望”が持つエネルギーです」(これは彼女自身の言葉かな?)ということのようだ。

今回のアルバムも全て彼女の書き下ろしで、レコーディングに参加しているミュージシャンは、ツアーメンバーの他に、スペシャル・ゲストとしてマイク・スターン(Mike Stern: guitar、2曲目の「The Choice」)、ランディ・ブレッカー(Randy Brecker: trumpet、4曲目の「NEO」)、レイラ・ハサウェイ(Lalah Hathaway: vocal、5曲目の「Love And Nothing Less」、作詞も彼女による)とグレゴア・マレ(Gregoire Maret: harmonica、同じく5曲目)、カーク・ウェイラム(Kirk Whalum: saxophone、6曲目の「Luminescencr」)、ジョエル・ロス(Joel Ross: vibraphone、11曲目の「Euphoria」)と実に多彩だ。

全体を通して聴くいて、ブルージーなナンバーから、小気味よいナンバー、さらにはまさに松居慶子という感じの美しい楽曲まで、多彩な楽曲に満ちている。まさに、ピアニストとして、また作曲家としての彼女の音楽の世界が詰め込まれた作品だと思う。

Date: 2023/6/24
Artist: 米澤美玖
Title: Delight


miku2 テナーサックス奏者・米澤美玖の新作アルバム。新作が出たのは知っていたので、買おうと思って新宿のタワレコに行ってみたが、あいにく置いてなかった。なので、今回もタワレコのオンライショップで買うことにしたのだ。

前作はジャズバラード集ということでしっとりとした内容だったが、今作は『Exotic Gravity』以来の4年ぶりのオリジナルアルバムということのようだ。レコーディング・メンバーは、彼女(sax)の他には、小川悦司(gt)、岡本洋(pf)、青柳誠(pf)、安部潤(key)、新澤健一郎(syn)、岡田治郎(bs)、波多江健(dr)、川口千里(dr)、竹内大貴(dr)、小川このん(perc)と実に多くのミューシャンが参加している。

オープニング曲「Spiral Fall」のダイナミックなサックスで始まる今作は、ジャズ、フュージョン、ブルース、ロック、そしてラテンの香りのする楽曲と、ハイテンポでダイナミックで、超絶技巧のサックスから、しっとりと聴かせるサックスまで、彼女らしいサックスをこれでもかと聴かせてくれている(個人的感想です)。こりゃ、なかなか良いです。

今や日本を代表するサックス奏者の一人となった彼女は、自身のライブ活動のほか、The Jazz Avengersのメンバーとしても活動している、今後が楽しみなサックス奏者の一人だ。

Date: 2023/5/2
Artist: Rodrigo y Gabriela
Title: In Between Thoughts ... A New World


rodrigo_y_gabriela3 メキシコ出身のギター・デュオ、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ(Rodrigo y Gabriela)の新作アルバム。新宿のタワレコでたまたま見つけ、思わず買ってしまった。彼らのアルバムを買うのは何年ぶりだろう?

ロードギター担当のロドリーゴ・サンチェス(Rodrigo Sánchez)とリズムギター担当のガブリエーラ・クインテーロ(Gabriela Quintero)によるリズミカルでダイナミックの速弾きが特徴の、男女2人による唯一無二のインストゥルメンタル・ギター・デュオだ(少なくとも僕は、他には知らない)。彼らはこれまではナイロン弦のアコースティック・ギターを使用してきたが、今回のアルバムでは、ロドリーゴはアコースティックからエレキに持ち替え(全部の曲ではないかも…)、さらにはオーケストラとシンセなどの電子楽器も取り入れ、これまでとは異なるサウンドの領域にまで広がってきている。とはいえ、彼ら2人のダイナミックなギターは健在だ(リードギターもさることながら、まるでパーカッションのようなリズムギターがすごい)。

ところで、10曲目以降はボーナストラックが9曲収録されているが、どれも短い曲(30秒〜1分49秒)で、2人だけでセッションをやっているような曲だ。

Date: 2023/5/2
Artist: 高木里代子
Title: The Piano Story


riyoko4 ジャズ・ピアニスト、高木里代子の新作アルバム。4月末に発売されたばかりで、新宿のタワレコで早速買ってきたのだ。

今回のアルバムは "Celebrity Standards" 、"Jewelry Box" に続く Steelpan Records 第三弾のピアノトリオの作品だ。リズムセクションとして、前作、前々作とは変わり、井上陽介(bass)、則竹裕之(drums;元T-Square)という日本のトッププレイヤーを迎えてのレコーディングだ。

ショパンの「Scherzo No.1(スケルツォ第1番)」に始まるこのアルバムは、オリジナルナンバー(11曲中6曲)とスタンダードナンバーを交え、アップビートのダイナミックなプレイから、メロウなバラードまで、ストレートアヘッドな彼女の”ピアノ・ストーリー”が広がっている。

ところで、YouTubeやTwitterでしか彼女の演奏を見たことがないので、彼女のライブに行きたいと思っているが、スケジュールの関係で未だ実現できていない。来月末の町田一番街夏フェスに出演するようなので、これは是非行こうと思っているのだ。ついに彼女の生演奏が聴けると思うと、今から楽しみだなぁ〜。


[追記]
7/28~29に開催された町田一番街夏フェスティバルに行ってきました。彼女は7/29にソロピアノで出演し、彼女の生演奏を十分堪能できました。よかったです。

Date: 2023/5/2
Artist: The Jazz Avengers
Title: The Jazz Avengers


jazz_ave 以前から注目していて、今や世界的ドラマーとなった川口千里を中心として、日本のトップ女性ミュージシャンが集結した今注目のバンド、The Jazz Avengers の1stアルバム。先月末に発売されたので新宿のタワレコで早速買ってきたのだ。

メンバーは川口千里(Drums)、寺地美穂(Alto Saxophone)、芹田珠奈(Bass)、瀬川千鶴(Guitar)、WaKaNa(Alto Saxophone)、米澤美玖(Tenor Saxophone)、竹田麻里絵(Keyboards)、中園亜美(Soprano Saxophone)の8人で、いずれもかなりの実力の持ち主で、セッションやライブ、レコーディング等で活躍している人たちだ。

ジャズをはじめ、ファンク、フュージョンなどをベースにした音楽で、ギター/ベース/キーボード/ドラムにサックス4管というあまり見たことのない特徴ある編成で(ビッグバンドは別にして)、伸びやかな音作りをしている印象を受けた。メンバーそれぞれが、実力を遺憾なく発揮し、バランスが取れて非常に聴きやすく、なかなか良い作品に仕上がっていると思う。

彼女たちは今、1stアルバム・リリースツアーの真っ最中のようだが、今のところ残念ながら僕は日程の関係で行くことができていないので、別の機会に日程が合えば、ぜひ行きたいと思っているのだ。

Date: 2023/2/26
Artist: Pink Floyd
Title: The Division Bell/対[Tsui]


pink_floyd5 英国のプログレッシブ・ロック・バンド、ピンク・フロイドの1994年に発表されたアルバム。昔のアルバムで持っていないものを買おう・ロック編(と、勝手に呼んでいるが)ということで、今回はこのアルバムを買うことにしたのだ。

この作品はメンバー間の対立によって1985年にロジャー・ウォーターズ(Roger Waters: bass/vocal)が脱退して以降の作品群の一つだ。ロジャー・ウォーターズに首を宣告されてからはサポート・メンバーとして参加していたキーボード奏者のリチャード・ライトが正式メンバーとして復帰した作品でもある。レコーディングには3人のメンバー — デヴィッド・ギルモア(David Gilmour: guitars/vocal)、ニック・メイソン(Nick Mason: drums)、リチャード・ライト(Richard Wright: keyboards/vocal) — の他に多くのミュージシャンが参加している。商業的には、米国、英国のアルバム・チャートで1位を獲得し、全世界で1,000万枚以上の売上を記録している。

僕は1994年にロンドンの Earls Court で行われたコンサートの模様を収録した2枚組のライブDVD『P・U・L・S・E』(2005年リリース版)を持っているんだが、その中でこのアルバムに収録されている何曲か(*1)を演奏していて、それが耳に残っていたので、それが今回このアルバムを買おうと思ったきっかけなのだ。アルバムを通して聴いてみると、全体的に聴きやすく、大人し目な感じでまとまっているが、随所にピンク・フロイドらしい雰囲気は感じさせる内容になっていると思う。中でも ”Marooned/孤立”(*2)、”High Hopes/運命の鐘”(*3) では、デヴィッド・ギルモアの泣きのギターが素晴らしい。

ところで、アルバムタイトルの "division bell" ってどういう意味だろう。
「分割ベル」?
ネットで調べてみたら、英国議会で「採決を知らせるベル」を表す言葉のようだ。アルバム・ジャケットは二つの顔の彫像が向き合ったデザインになっていて、ロジャー・ウォーターズとの裁判で感じられた「対立」を表しているとされているようだ。そもそもこのアルバムは「コミュニケーション不足による対立」をコンセプトに創られていると言われているので、このようなタイトルとジャケットデザインになっているのだろう。なので、邦題も『対[TSUI]』になっているのかな?

まぁ、ピンク・フロイドの作品についてはいろんなところで語り尽くされているので、僕ごときが作品についてコメントしても、何を今更という感じになってしまうけど…。


*1 "Take It Back" 、"Coming Back To Life/転生" 、"Keep Talking" 、"High Hopes/運命の鐘" の4曲だ。
*2 "Marooned" はグラミー賞のベスト・ロック・インストゥルメンタル部門を受賞していて、これはピンク・フロイドにとって初のグラミー受賞となったようだ。
*3 "High Hopes" でのデヴィッド・ギルモアのギターは、前半はガット・ギター、後半はエレクトリック・ギターでのスライドギターと使い分けている。スライドギターは、ライブDVDの映像を見ると、ボトルネック奏法ではなく、フェンダーのスチールギターを使用していた。

Date: 2023/2/26
Artist: Jeff Beck
Title: There And Back


beck6 今年の1月に惜しくも亡くなった孤高のロック・ギタリスト、ジェフ・ベックの1980年にリリースされたアルバム。実はこのアルバムのLPレコードを持っているんだが、実家に置いたままになっているし、ウチではレコードをかけるられないので、今回CDを買うことにしたのだ。

この作品は1975年の『Blow By Blow』に始まる彼のインストゥルメンタル・ジャズ・ロック期の3作目のアルバムで、前作『Wired』(1976年リリース)から4年の空白を経て発表されたものだ。レコーディングにはヤン・ハマー(Jan Hammer: keyboards/drums)、サイモン・フィリップス(Simon Phillips: drums)、トニー・ハイマス(Tony Hymas: keyboards)、モー・フォスター(Mo Foster: bass)が参加している。

ヤン・ハマーのイントロが印象的な「Star Cycle」に始まるこの作品だが、ヤン・ハマーが参加しているのは最初の3曲のみで(この3曲はヤン・ハマー作曲)、以降はキーボードはトニー・ハイマスが担当し、エネルギッシュな演奏を聴かせている。また、サイモン・フィリップスのドラムも彼らしいエネルギッシュなドラミングを披露している(サイモン・フィリップスは、僕にとっては、上原ひろみの "The Trio Project" 期のドラマーという印象が強いが)。トニー・ハイマスとサイモン・フィリップスは作曲でも中心的役割を果たしている。

こう書いていると、主役のジェフ・ベックの印象が薄いように感じられるかもしれないが、彼のギターを全面に押し出した作品というよりは、全体のサウンドの流れの中でギターをどのような位置に置くかということを考えた作品という印象がある。もちろん、彼のギターを十分堪能できる作品できる作品になっている。アルバムの解説によれば、キャチーでポップな聴きやすい作品に仕上がっていて、ジャズ・ロック期の集大成とも言える作品ということになるのかな。

Date: 2023/2/26
Artist: Music by Hiromi
Title: Blue Giant - Original Motion Picture Soundtrack


hiromi29 石塚真一原作のジャズ漫画『BLUE GIANT』の劇場アニメ映画のオリジナル・サウンドトラック。僕は映画のサウンドトラックのCDはほとんど買わないのだが(1,2枚持っていたような気がするが…)、今回は上原ひろみが音楽を手がけているので、気にはなっていたのだ。一応、iTunes Store で試聴してみたが(タワレコのサイトでは試聴できなかった)、なかなかよかったので、買うことにしたのだ。

このCDは、映画の中で主人公が演奏している曲や挿入曲ということで、全体に短めの曲が多く、全29曲が収録されている。ほぼ全ての曲は上原ひろみによるもののようだが、中でも主人公・宮本大たちが結成するトリオ "JASS" のオリジナル楽曲(「FIRST NOTE」、「N.E.W.」、「WE WILL」)とエンドロール曲(「BLUE GIANT」)は、本作のために彼女が書き下ろした楽曲だそうだ。

劇中のトリオ "JASS" メンバー・宮本大のサックスを演奏するのは馬場智章、玉田俊二のドラム演奏は石若駿、そしてピアニスト・沢辺雪祈の演奏は上原ひろみが担当している。そのほか、劇中のバンド演奏や音楽演奏は、「上原ひろみ "The Piano Quintet"」のメンバー(西江辰郎、ビルマン聡平、中 恵菜、向井 航)をはじめ、クラシック&ジャズ界のトップ・ミュージシャンが参加しているようだ。

僕は原作の漫画は読んでいないので、ストーリー展開はよくわからないが、このアルバムを聴いていたら、ストーリーが気になってきた。こりゃ、映画を観なくてはと思った。

Date: 2023/1/2
Artist: 山中千尋
Title: Today Is Another Day


chihiro21 ジャズ・ピアニスト、山中千尋の新作アルバム。新作が出たのは知っていたので、新宿のタワレコで早速買ってきたのだ(もちろん、初回限定盤CD+DVDを買った)。

今回のアルバムは、2年半振りの全編ニューヨークでの新録音なのだそうだ。ということは、2020年6月に発売された『Rosa』以来ということか。まぁ、その間はコロナ禍の真っ最中で、なかなか海外でのレコーディングというわけにはいかなかったのだろう(勝手な想像だけど)。

今回のピアノトリオのメンバーは、彼女(Piano)の他に、脇義典(Yoshi Waki: Bass)、ジェニファー・ヴィンセント(Jennifer Vincent: Bass)、ラフラエ・オリヴィア・サイ(LaFrae Oliver Sci: Drums)だ。今回は曲によって2人のベーシストが分担している。

収録されている曲は、彼女の書き下ろしの2曲("Today Is Another Day"、"Old Days")の他に、キース・ジャレット(Keith Jarrett)の "So Tender" やウェザー・リポートを率いたキーボード奏者のジョー・ザヴィヌル(Joe Zawinul)の "Midnight Mood"、それから財津和夫による "A Song For You (切手のないおくりもの)" など、バラエティに富んでいる。ピアノトリオ編成で、ベースとドラムをバックに、彼女のピアノが縦横に走り回る、彼女の持ち味である軽快でエネルギッシュなピアノから、バラードまで、彼女のピアノを存分に堪能できる内容になっている(と思う)。

DVDの方は、アルバムに収録されている4曲のレコーディングの様子を収録したもので、ベースは2曲ずつ2人のベーシストが演奏している。ジェニファー・ヴィンセントとラフラエ・オリヴィア・サイとのトリオは女性3人によるもので、昔(十何年か前だったと思う)観た彼女の全員3人によるピアノトリオのライブを思い出した。

Date: 2023/1/2
Artist: Yucco Miller
Title: City Cruisin'


yucco3 サックス奏者・ユッコ・ミラーの新作アルバム。12月に新作が出たことは知っていたので、買おうと思っていたのだ(一応試聴はしたが)。

奇抜なルックスとは裏腹に、サックスの実力はかなりのものの彼女だが、何年か前に町田のジャズ・フェスティバル(町田一番街夏フェスティバル)に出演しているのを観て、その後3作目のCDを買ったんだが、それ以来お気に入りのサックス奏者の一人になった。

彼女のオリジナル曲「Cheer」に始まり、「My Memory」で終わる(ボーナス・トラックを除く)5作目となる今回のアルバムは、これらオリジナル曲の他に、YouTube でも話題なったAdoの「うっせぇわ」や、竹内まりやのカヴァー曲「プラスティック・ラブ」、「名探偵コナン」のメイン・テーマ曲などが収録されている。特に「プラスティック・ラブ」はヴォーカルとサックスの2つのバージョンが収録されているが、ヴァーカル・バージョンのヴォーカルは誰がやっているんだろうと思ったら、彼女自身だった(彼女のヴォーカルは初めて聴いた)。いずれにしても、彼女のサックスを十分堪能できる内容になっている。

ところで、今回のアルバム・ジャケットのデザインは、大人の雰囲気の彼女の背後に、車が描かれているが、よく見ると、昔のトヨタ・セリカ・リフトバックだ。この車は確か僕が中学生の頃のセリカでとってもカッコよかった。当時、日産スカイライン(ケンとメリー)と人気を二分する車だったような記憶がある。

車の話はさておき、僕はまだ彼女のライブには行ったことがないので(町田のジャズ・フェスは別にして)、スケジュールが合えば行きたいと思っているのだ。